2024年 5月 6日 (月)

2枚目イエローが出なかった本当の理由 鹿島決勝ザンビア人主審の頭をよぎったコト

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   なぜセルヒオ・ラモスに2枚目のイエローカードが出されなかったのか。レアル・マドリードと鹿島アントラーズによるFIFAクラブワールドカップ2016決勝は4対2のレアル優勝で幕を閉じたが、2対2で迎えた後半45分、ラモスの金崎夢生に対するファールへの審判の判定をめぐって議論が起きた。中継した日本テレビの番組ゲスト・明石家さんまさんは試合後、「MVPはレフェリー」と言った。

   さんまさんは冗談めかしていたが、同点の後半終了間際に1人退場するか否かのファールとあり、その後の延長戦に影響を及ぼしかねない場面。サッカージャーナリストで審判とコーチのライセンスを持つ石井紘人氏は、J-CASTニュースの取材に対し、「イエローが出てもおかしくないファールではあったが...」などと分析を語った。

  • レアル・マドリード、セルヒオ・ラモスのファールをめぐり議論が起きた(画像は試合を中継した日本テレビ・クラブW杯公式サイトのスクリーンショット)
    レアル・マドリード、セルヒオ・ラモスのファールをめぐり議論が起きた(画像は試合を中継した日本テレビ・クラブW杯公式サイトのスクリーンショット)
  • レアル・マドリード、セルヒオ・ラモスのファールをめぐり議論が起きた(画像は試合を中継した日本テレビ・クラブW杯公式サイトのスクリーンショット)

サッカー審判記事サイト運営のジャーナリストに聞く

   決勝は2016年12月18日に行われた。後半45分、鹿島の柴崎岳が自陣ペナルティアーク付近から金崎に縦パスを送ると、金崎は後ろ向きでボールを受けながらターンして前を向こうとした。この瞬間、金崎の背中にチャージを仕掛けたのがラモスだ。ザンビア人のジャニー・シカズ主審は笛を吹き、左胸のポケットからカードを取り出すような動きを見せた。さらに、レアル陣地に向かって手招きするジェスチャーを取った。

   ラモスはこの試合すでに1枚イエローカードを受けており、もう1枚で退場処分となる。しかし、シカズ主審はポケットに約15秒間手を当てた末、カードを出さなかった。鹿島ボールで試合再開の笛が吹かれるまで、試合は約1分間中断された。

   サッカーの審判に関する記事を配信するウェブサイト「石井紘人のフットボールレフェリージャーナル」も運営する石井氏は、この場面について「主審はラモスのファールをしっかりと見切ることができていなかったのではないか」としてこう分析する。

「誰がファールしたかを確認するため、(主審を支援する役割を持つ)第4審と連絡を取っていたと思われます。録画を見返しましたが、第4審の方を見て喋っていましたね」

   確かに主審は、パスの出し手・柴崎と受け手・金崎のちょうど中間におり、ラモスのファールを振り向きざまに見る形となっていた。

誤審とは言えないが、審判委員会で追及される可能性

「イエローを出してもおかしくない行為でした。ですが、カードの判定にあたっては、『大きなチャンスをつぶしたか』『どう止めに行ったか』が判断要素として大きくなる。

あのファールは鹿島陣地の中間あたりで起き、プレー続行で得点につながるビッグチャンスになる可能性が高かったとは言い切れません。ラモスの止め方も、後ろから明らかにホールディング(手で引っ張ったり、押さえ込んだりする行為)をしていたらイエローでしょうが、主審は第4審と協議の末、単純にボールを取りに行った延長で手で押し、引っかかったと判断して、ファールどまりになったということだと思います」(石井氏)

   ラモスがすでに1枚イエローをもらっていたのも、主審の判断を鈍らせたかもしれない。石井氏は、「基本的には1枚目と2枚目で判断の仕方を変えてはいけません」というものの、「退場させるとなると、それに値する行為という確信なしには出しづらい心理がはたらきます。審判も人間なので、どうしてもそこのさじ加減に個人差が出てしまいます」と主審に一定の理解を示し、

「あれが誤審かと言われれば、誤審とは言えないでしょう」

とした。

   一方で、胸ポケットからカードを取り出すような仕草については「あまりやってはいけない行為」と話す。試合後、シカズ主審は審判委員会に厳しく追及されているだろうと石井氏は言う。

「審判が紛らわしい素振りを見せると、その後の選手のプレーに迷いが生じかねません。だから審判は迷ってはいけない。カードを出すなら出すべきですし、出す判断ができない間はあのような態度は控えるべきです」
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