「暴力団関係者」への車の名義貸し フジテレビ記者は何が問われるのか

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   フジテレビの男性記者が暴力団関係者と疑われる取材対象者から過剰な接待を受け、自動車購入について名義貸しをしていた問題は、今後は反社会的勢力との交際に焦点が当たることになりそうだ。

   今回のケースは刑事責任を問われる可能性もあり、過去、報道機関の記者が反社会的勢力に便宜を図っていた事例では、上司を含めて重い処分が下されている。

  • フジテレビは民放連の指針を「遵守し、行動します」と表明している
    フジテレビは民放連の指針を「遵守し、行動します」と表明している

ディーラーは暴力団関係者には車を売らない

   12月19日深夜の時点でフジテレビが報じている限りでは、この30代の記者は(1)2014年春ごろ、取材の過程で知り合った取材対象者から複数回にわたって過剰な接待を受けた(2)取材対象者の依頼を受けて記者本人名義で車を購入したことが明らかになっている。ただし、社内調査では、この取材対象者が暴力団関係者かどうかは「確認できていない」としている。この記者は、現在では記者職から外されている。

   各地の暴力団排除条例では、事業者に対して契約相手が暴力団関係者でないことを確認し、暴力団関係者であることが判明した場合には解除する旨契約書に記載するように求める努力義務を定めている。暴力団関係者が、こういった規制をくぐりぬけようとして罪に問われるケースもある。例えば15年6月には、兵庫県警が指定暴力団山口組系組長ら3人を詐欺容疑で逮捕している。このケースでは、外車を名古屋市内のディーラーで購入する際、3人が共謀して暴力団員との取引を拒否する旨の契約書にサインし、車をだまし取った疑いが持たれている。

   今回の記者のように、名義を貸した側も刑事責任を問われる可能性がある。アディーレ法律事務所の島田さくら弁護士は、

「買主が暴力団関係者ではないということが契約の重要な要素となっている場合に、実際に所有するのが暴力団関係者であるにもかかわらず、名義貸しによりディーラーや信販会社を騙して自動車を購入すると、詐欺罪(刑法246条1項:10年以下の懲役)に問われる可能性がある」

と指摘する。

   これに加えて、実質的に車を所有するのが暴力団関係者であるにもかかわらず、記者の名前で登録手続きを行った場合は、

「電磁的公正証書原本不実記録罪(刑法157条1項:5年以下の懲役または50万円以下の罰金)及び同供用罪(刑法158条1項:5年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われる可能性がある」

という。刑法以外にも、東京都暴力団排除条例に抵触する可能性がある。この場合は、罰則はないが、公安委員会から再発防止措置の勧告を受ける。

取材の音声データを暴力団関係者に渡した記者は諭旨解雇に

   過去にも、記者が反社会的勢力や捜査対象者との距離感を誤ったことが問題化したことがあった。06年には、毎日新聞記者が取材の録音データを暴力団関係者に渡すという事件が起きた。この事件は、衆院議員が国会質問をめぐって脅迫された事件の取材で、衆院議員の話を録音したICレコーダーを、取材協力者だった元暴力団組長の男性に貸し出したというもの。この結果、毎日新聞社は07年に記者を諭旨解雇、取材記録提供時の社会部長や編集局長ら上司5人も役職停止15日~1か月、役員報酬20~30%返上の処分とした。

   10年7月には、NHKの記者が大相撲の野球とばく事件をめぐり、警視庁の捜査対象になっていた親方に「あす賭博関連で数か所が捜索されるようです」などとメールで知らせていた。同年11月には、記者を停職2か月、福地茂雄会長(当時)を含む役員や上司ら計9人を減給処分にした。

   フジテレビが加盟する日本民間放送連盟(民放連)では、出演者が反社会的勢力に該当したり、出演契約が反社会的勢力の活動を助長、組織運営に寄与する恐れがあったりする場合は、「出演契約を催告なく解除することができる」とする指針を定めている。フジテレビもウェブサイト上で、この指針を「遵守し、行動します」と表明している。今回のケースはこういった方針に反することは確実だ。

   フジテレビは

「引き続き調査を進め、判明した事実に基づいて、厳正に対処し、再発防止に努める所存です」

とのコメントを出している。

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