電通社長辞任は海外メディアも注目 NYタイムズ、FTが報じた過労死の病理

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   電通の新入社員だった高橋まつりさんが過重労働を苦に自殺した問題はついに、同社の石井直社長が辞任を表明する事態へと発展した。

   その衝撃は大きく、海外メディアも相次ぎ報道。「日本においては長い間、遅くまで残業することは会社に対する忠誠心として受け入れられてきた」などと、日本の「極端な」企業文化を世界に伝えている。

  • 労働問題に揺れる電通(写真は東京都港区の本社ビル)
    労働問題に揺れる電通(写真は東京都港区の本社ビル)

朝日新聞「電通だけの問題ではない」

   電通の石井社長は2016年12月28日夜に会見を開き、同社幹部が労働基準法違反の疑いで書類送検されたことを謝罪、合わせて17年1月の取締役会で社長を辞任すると明かした。

   辞任の理由を、高橋さんの命日である12月25日に遺族に直接謝罪できたからだと述べたうえで、「過重労働は決してあってはならないことで経営を預かる身として慚愧(ざんき)に堪えず、深く責任を感じている」と語った。

   しかし、ツイッターでは

「到底信用出来ない」
「辞めて何になる」
「辞任しても亡くなった方は戻ってこない」

といった厳しい声が噴出。非難の声はおさまっていない。

   国内メディアも批判の手を緩めていない。朝日新聞は会見翌日の29日の社説で「実効性のある再発防止策を実施することが企業としての責務」だと指摘した。

   朝日新聞社が12月に労働基準監督署から長時間労働の是正勧告を受けたことにも触れながら、「電通だけの問題ではない」「従業員を大切にすることは、政府に迫られてではなく、企業が自主的に取り組むべき課題」と主張した。

「多くの日本企業に浸透してきた極端な職場倫理」

   海外の主要メディアも、電通問題を「過労死」に関連づけて紹介している。英フィナンシャルタイムズ電子版は12月28日付け記事に

「高橋さんの死と石井氏の辞任は、『カロウシ(karoshi=過労死)』として知られる現象、すなわち過剰な労働により命を失うことに関しての国民的な議論に火をつけた」

と書いた。

   米ニューヨークタイムズ電子版は同日付け記事で、「カロウシ」という言葉は1980年代から広く使われるようになったと振り返り、「日本においては長い間、遅くまで残業することは会社に対する忠誠心として受け入れられてきた。使用者側はこれに、雇用の安定という形で報いた」と伝えた。

   また、米ウオールストリートジャーナル電子版の同日付け記事は、長時間労働を「多くの日本企業に浸透してきた極端な職場倫理」だとしたうえで、電通問題をきっかけにそれを抑えるための議論が再燃したと指摘している。

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