サッカー最大イベントのワールドカップ(W杯)で2026年大会から出場チームが12増の48になる。突然の大改革に世界のあちこちで戸惑い、怒り、喜びと大騒ぎとなった。収入増は総収入で10億米ドル増と試算この出来事に不快感を示したのは欧州のサッカー界だ。「政治的な理由だろう」「現在の32チームが理想の形だ」出場48チームにすると決めたのは、2017年1月10日の国際サッカー連盟(FIFA)の理事会。全会一致だった。欧州が半ば怒りを見せたのは、これまでのW杯に出場した選手の7割以上が欧州のクラブチームに所属しているからで、事前に意見を聞くべきだろう、というのである。大幅増は、一言でいえば「儲けよう」である。1、48にすることでサッカービジネスが拡大できる2、これまでの見通しより総収入が10億米㌦増で、利益が6億4000万米㌦になるこういう計算になるのだそうである。単独開催狙っている日本は枠増加に歓迎試合数は16増えて80となるのだが、試合日数は従来と同じ。つまり日数を増やさないで増収となることで理事会はまとまったという。各地域の代表チーム割り当てはこれからの課題だが、日本は大歓迎のようである。アジア枠が増えるのは間違いなく、日本の出場はかなりハードルが低くなる。日本は単独W杯開催を狙っている。「大会が12会場なら十分可能」FIFAの理事でもある日本サッカー協会の田嶋幸三会長はそう語る。勝算あり、といった感じである。日本のサッカー界はいま上げ潮にある。子供たちの将来のスポーツは野球を抜いてトップにある。Jリーグは2017年以降の放送権で英国に本社を置くIT会社と10年2100億円の契約を結んだ。それだけに元気がいい。むろん新たなW杯ルールにはリスクもある。1、予選で大差の試合が増える2、日程の有利、不利が出る3、手抜きの試合が増えるなどである。枠が7枠(現在4.5枠)に増えるといわれる南米は、10チームでの代表争いは激しさが消え、むしろ魅力を失って減収になると恐れている。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)
記事に戻る