豊胸手術をしている女性は、「乳がん検診」を受けられないのか――。歌手の宇多田ヒカルさんが2017年2月1日に寄せたツイートを発端に、こんな噂がインターネット上で拡散している。ツイッターには、「豊胸手術すると乳がん検診出来ねえぞ」「これはリスク大きいな」といった書き込みが数多く出ているが、はたして噂は本当なのだろうか。女性のバスト専門病院に聞いてみると...。「豊胸手術等はしていませんよね?」宇多田さんは2月1日のツイートで、乳がん検診の「マンモグラフィー検査」を受けた際のエピソードを報告した。マンモグラフィーとは、専用器具で乳房を上下から強く挟みながら、薄くのばして撮影する乳房専用のレントゲン検査。触診やエコー検査では見つけづらい、早期の乳がんを発見するための検査方法だ。その検査を受ける際に宇多田さんは、病院側から、「豊胸手術等はしていませんよね?」と確認されたという。その上で、「豊胸出術を受けているとマンモ(グラフィー)が出来ないらしい」として、「おっぱい大きくなっても乳がん検診出来なくなるとか代償がデカ過ぎる。そういう事情も了承の上で豊胸する人はするんだろうか」との持論を展開した。 こうした宇多田さんのツイートをきっかけに、インターネット上では「豊胸手術をすると乳がん検診を受けられない」という噂が拡散することになった。ツイッターには、「乳がん検査できないの?え...豊胸しようと思ってたのに...」「豊胸して乳がんになって、見つけられずに乳房全摘とかそういう悲しい話を想像しちゃいました」「乳がん検診できなくなるのか...それはちょっとリスク高いな...」といった書き込みが数多く出ている。病院によって異なる対応実際、豊胸手術で胸にシリコンバッグを入れた場合、マンモグラフィーをはじめとした乳がん検診に支障が出ることはあるのだろうか。女性のバスト専門病院「ナグモクリニック」の南雲吉則総院長(61)はJ-CASTニュースの取材に対し、「豊胸手術を受けたからといって、マンモグラフィー検査を受けられないということは一般にはありえません」と話す。その上で、「一昔前は、豊胸手術を受けた人へのマンモグラフィー検査を『推奨しない』という資料もあったようですが、現在では国立がんセンターの資料でも『問題なく検査が可能』だとされています」と続けた。南雲氏によれば、豊胸手術などで胸にシリコンバッグを入れている人のマンモグラフィー検診を行う場合、シリコンを避けて表面の乳腺だけを検査する「プッシュバッグ」という方法があるという。すでに30年以上前に生まれた検査法で、通常の検査と「全く変わらない」制度で検査を行うことができるという。 ただ、全ての病院がこのプッシュバッグ法に対応しているわけではない。南雲氏は「技師の経験や技術によっては、プッシュバッグ法での検査を断る病院があることも事実」とした上で、「豊胸手術を経験した人は、検査を受ける前に病院に確認することをおすすめします」と話していた。
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