声優プロダクション大手「81プロデュース」が2017年2月27日、公式HPトップに「一部のファンによる行き過ぎた行為が発生している」と警告文を掲載した。声優のアフレコ現場にまでファンが来て、「出待ち」「付きまとい」をしているというのだ。今後一切このような行為はしないよう呼びかけているが、ネット上では、声優のアイドル化は現実のものであり、各事務所もそれに乗っかり稼いでいる。警告は必要だが限界があり、声優についても一般的なアイドルのように事務所主導で守るべきだ、という声が多く出ることになった。「ドル売り」がここ10年で急速に進んだ「お願い」と書かれた警告文の内容は、最近になって一部のファンによる「入り待ち」「出待ち」「追いかける行為」「付きまとい」「無断撮影」といった行為が発生している、というもの。イベント等の公演やテレビ、ラジオなどの番組収録時だけでなくアフレコスタジオ周辺でも発生している。周りに迷惑がかかるだけでなくトラブルや大きな事故の原因になる可能性もある。「一切お止めいただきますよう、お願い致します」と結んでいる。「声優はキャラを演じる役者」という概念だった昔から、出入り待ちや追っかけは存在した。それがここ10年「ドル売り」と呼ばれるアイドル化が急速に進み、本人名義による音楽CDの発売、コンサートやイベントの開催、写真集やイメージDVDが作られるなど一般的な芸能人アイドルとの差が無くなった。「81プロデュース」も声優名義ではあるが「i☆Ris」「WakeUp,Girls!」といったリアルなアイドルグループを抱えている。結果的に声優はジャニーズやAKBといったアイドルが遭遇する状況と同じになり、出入り待ちや追っかけはさらに激しさを増した。「声豚」と呼ばれる声優ファンも声優自身も、自分は役者なのかそれとも芸能人アイドルでもあるのか境界線はあやふやだ。しかし、声優に最近興味を持ったファンはストレートにアイドルとして認識し接触してくる。一方で声優はというと、本来は裏方だという思いがあり、「出入り待ち」や追っかけに驚き、こんな事をブログやSNSで発信することになる。「スタジオでのいわゆる出待ち入り待ちはお控え下さい。応援して下さるお気持ちは大変嬉しいのですが・・・。その場でのお手紙の手渡しやサインの求めなどには応じられません」(諏訪部順一、13年5月5日)「会場の移動中、後ろをずっとつけられていてとても残念でした。応援してくださるファンの方々はすごくありがたいです。なので、良い距離感を保っていたいです。よろしくお願いします!」(小野賢章、14年3月29日)「イベント出待ちでスマホで写真や動画撮るのはどうなの?」(中村悠一、16年9月22日)「タレントを守る金やノウハウは持ってない」の声今回の「81プロデュース」の警告についてネット上では、迷惑行為をするファンは許せない、とし、「いくら収録時間がなんとなくわかっても、アフレコ現場でつきまとったらあかんって言うのは昔はオタクの常識だったのに」という声が挙がる一方で、警告し続けることは必要だが限界がある、という声が多い。掲示板には、「アイドル売りをしているが、アイドル事務所のようなタレントを守る金やノウハウは持ってないからな」「声優業界は売り方だけアイドルに寄せた弊害じゃないの。まぁ守れないならそんな売り方をした側がアホなだけだな」「出待ちっていうのやめて、ストーカーとはっきり言おう」といった書き込みが出て、事務所側が声優を守るために動くべきだと考える人が多い。J-CASTニュースが17年2月28日に「81プロデュース」に、警告文を出すに至るどんな状況があったのか、対策はあるのかについて取材しようとしたが、「この件についてのお話はできません」という答えしか返ってこなかった。
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