試合終了後に高梨沙羅が涙を見せた。2017年2月24日の世界選手権(フィンランド)ジャンプ個人ノーマルヒル3位に終わったときだった。「大試合に弱い」とのレッテル「いいところを見せたいという気持ちが出て、自分のやるべきことを見失った」正直なコメントである。そこからうかがえるのは、勝たなくては、との焦り、力みだ。そうなったのは、大きな舞台に勝てないとの意識からなのだろう。確かに、通常の大会では強さを見せるのだが、五輪や世界選手権になると、トップに立てない。ソチ五輪(14年)は「本命」といわれながら4位。メダルは取れなかった。世界選手権は11年から今年まで4度出場しているが、6位、2位、4位、3位。高校生のころは大試合に勝てなくても「期待外れ」の声は出なかった。20歳で臨んだ今季は、周囲が大人として扱ったこともあって、はっきりと「大試合に弱い」とのレッテルが貼られた。今年の世界選手権では1回目に98メートルを跳び1.5メートル差の2位。ところが2回目は95メートルと後退。勝負弱さを露呈してしまった。本人は精神面の課題を挙げている。「同じこと(ミス)を繰り返している自分が情けない」「大きな大事な試合に合わせていくことができていない」ワールドカップで最多タイ記録53勝を記録した自信がどこへ行ったのかと思うほどの落胆ぶりだった。最近は「大人の女性」としても関心をもたれ勝っても負けても注目される存在であることはだれもが認めるところなのだが、最近は「大人の女性」としても関心をもたれている。お化粧である。とりわけネットでは大きく取り上げられている。きちっとメイクされた顔は高校時代とは全く違う。大変身である。資生堂がスポンサーになったのがきっかけだったのは本当だろう。専門家によると、韓国で人気のあるメイク、とのことである。高梨はこう言う。「(化粧は)これまでしたことがなかった。先輩に教わり、見よう見まねでしている。スッピンはもうできません」高校生の年代で第一線に出るアスリートが大人の年齢になると、スランプ状態になるケースが多い。筋肉などの発達により体つきが変わるからなのだろう。高梨もそんな時期かもしれない。2歳年上の伊藤有希が今季になってW杯4勝、高梨にとって強力ライバルになった。高梨ファンとすれば冬季五輪で金メダルを獲得し、こちらでも「大舞台に強い」ジャンパーに大変身してほしいところである。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)
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