2018年 11月 22日 (木)

北朝鮮「11人を人質」の勝算 マレーシアも対抗「約1000人」

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   北朝鮮の金正男氏(45)の暗殺事件をめぐり、北朝鮮とマレーシア間の外交関係は「人質合戦」の様相を呈してきた。両国が互いの大使を国外退去処分にしたのに続いて、北朝鮮は同国に滞在しているマレーシア国民の一時出国禁止を通告。

   マレーシアは、この措置を「人質」だと反発し、同様の措置を発動した。これに加えて、マレーシアは、北朝鮮労働者37人を不法滞在の容疑で逮捕した。北朝鮮滞在中のマレーシア人は11人に過ぎないのに対して、マレーシアには約1000人程度の北朝鮮人が滞在しているとみられる。この多くは工事現場や鉱山の労働者だとみられ、北朝鮮の外貨稼ぎにもメスが入ることになりそうだ。

  • 北朝鮮のマレーシア大使館員ら11人が「人質」になっている(写真は大使館のウェブサイトから)
    北朝鮮のマレーシア大使館員ら11人が「人質」になっている(写真は大使館のウェブサイトから)

就労許可証の有効期限切れで37人逮捕

   北朝鮮の国営朝鮮中央通信は2017年2月7日、すでに一時帰国している駐北朝鮮マレーシア大使の国外退去処分に続いて、北朝鮮外務省が

「当地のマレーシア大使館に対して、マレーシアで発生した事案が公正に解決され、マレーシアにおける北朝鮮外交官と市民の安全が完全に保証されるまで、マレーシア国民の出国を一時的に禁止することを通知した」

と報じた。マレーシアのナジブ・ラザク首相は同日、この措置は「人質」だとして、

「気まぐれや思いつきでふるまうことは許されない。人質を取ることは国際法違反であり、マレーシアだけでなく世界にとって全く受け入れられない」

と強く反発。マレーシアに滞在する北朝鮮人についても同様の一時出国禁止措置を発表した。

   マレーシア側は、北朝鮮側よりも強い態度で臨むようだ。現地紙のニュー・ストレーツ・タイムズによると、ボルネオ島にあるサラワク州の入国管理局、海洋警察などが3月8日、北朝鮮の労働者37人を、ビザを不正に利用した容疑で逮捕した。北朝鮮人は、今回の事件が起こるまでは、ビザなしでマレーシアに滞在することができたが、働くには就労許可証が必要だった。この許可証の有効期限が切れたままマレーシアで働いていた容疑だ。37人は、橋の建設現場で働いていたという。

「違法なので国外退去にしなければならないが」...

   余波はさらに広がりそうで、現地紙「ザ・スター」によると、サラワク州当局は、37人以外にも約140人が、就労許可が切れた状態で滞在しているとして調査を進めている。ただ、サラワク州のアバン・ジョハリ首相は140人の扱いについて

「問題は彼らを国外退去にできるかだ。違法なので国外退去にしなければならないが、今起きている外交問題を踏まえると、(マレーシア)連邦政府の許可を得る必要がある」

と話しており、若干の紆余曲折がありそうだ。

   マレーシアメディアによると、マレーシアには約1000人の北朝鮮人が滞在しているが、大半が工事現場や鉱山での労働者だと考えられている。北朝鮮の外貨稼ぎの一翼を担っているとみられ、北朝鮮に経済的に与える影響も大きそうだ。

   一方で、現時点でマレーシア側が受けている影響は比較的小さい。マレーシア国営のベルナマ通信によると、現在北朝鮮国内にとどまっているマレーシア人は11人。内訳は、国連世界食糧計画(WFP)職員が2人、大使館員3人と家族6人。

   一時出国禁止を伝える朝鮮中央通信の記事では、北朝鮮外務省が

「駐朝マレーシア大使館とマレーシア外務省が双務関係を重んじ、発展させていこうとする善意の立場に立って今回の事件を速やかに公正に解決することを希望」

し、

「この(一時出国禁止)期間、駐朝マレーシア大使館の外交官と市民は、以前と同様の条件と環境の中で正常に働いたり居住できたりする」

とも付け加えており、抑制的だ。ナジブ首相も8日、11人は軟禁状態に置かれることなく通常通りの外出が許されているとして、

「安全については心配ない」

と話した。

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