地方銀行の統合が止まらない 単独では生き残れない事情 

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   「地方銀行の再編・淘汰は最終局面を迎えているのではないか―」こんな衝撃的な見方をしているのは、首都圏の有力地銀の役員だ。

   2017年に入りまだ3カ月だというのに、年明け早々から地銀の再編が目白押しの状態だ。1月には、三重県の三重銀行(四日市市)と第三銀行(松阪市)が経営統合に向けて交渉をしていると報道され、2月28日には両行は経営統合で基本合意を発表、2018年4月2日をメドに共同持ち株会社を設立し、両行は傘下に入る。

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    地銀再編、引き金は日銀のマイナス金利

マイナス金利と地域経済の二重苦

   3月に入ると、三井住友フィナンシャルグループとりそなホールディングスが各々の傘下にある関西の地銀3行が2018年4月頃をメドに経営統合することで基本合意したと発表。三井住友傘下の関西アーバン銀行(大阪市)とみなと銀行(神戸市)、りそな傘下の近畿大阪銀行(大阪市)は系列の枠を超えて経営統合することになる。

   3月半ばには、新潟県で総資産首位の第四銀行(新潟市)と第2位の北越銀行(長岡市)が経営統合を検討していると報道された。両行は、3月16日に「経営統合に関して検討しているのは事実だが、現時点で決定している事実はない」とのコメントを発表。経営統合に向かっていること自体は認めている。

   冒頭の地銀役員は

「この3件の経営統合には、明らかな共通点がある。それは、地元を同じくする地銀同士が統合するということだ。これまでのほとんどの地銀の経営統合は、隣接した他県の地銀が相手だった。それがもっとも簡単にシナジー効果を生む方法だったからだ。しかし、今や地元を重視した守備型の経営統合が中心になっている」

と解説する。

   そして、こうした背景には3つの要因があると分析する。第1は、2016年2月からスタートした日本銀行によるマイナス金利政策によって、収益力が低下し経営環境が厳しくなっている点がある。加えて、少子高齢化に伴う人口減少が地銀の経営環境の悪化に拍車を掛けていること。特に地方における人口減少のペースは速く、各地銀とも依って立つ地元経済の活性化が急務になっている。そして、地元重視の経営姿勢を金融庁が強力に後押ししていることだ。

オーバーバンキングと「寡占」のジレンマ

   金融庁の森信親長官は、地域に貢献し地元に役立つ地域銀行を標榜し、これを地銀に対する金融検査の根幹としている。その結果、地銀の経営統合は地元重視の守備型となり、いわゆるオーバーバンキング(地域の経済規模に対して金融機関が過剰な状態)の解消に向かって進むことになる。こうした地元同士の地銀による経営統合が「地銀の再編・淘汰の最終局面」と冒頭の地銀役員は見ている。

   しかし、地域経済が縮小する中で、地元地銀同士の経営統合は「思わぬ落とし穴」もある。地域経済に占めるシェア、特に融資のシェアが高く、寡占状態になれば公正取引委員会(公取委)の審査に通らない可能性が出てくるからだ。実際に、九州では長崎県佐世保市に本店を置く親和銀行を傘下に置く、ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)と十八銀行(長崎市)の経営統合では、事前に公取委の審査に引っかかるのではないか、との疑念が出されており、結果的に公取委の審査が長引き、両者は2017年4月に予定していた経営統合を10月1日に延期した。

   最終局面と見られる地銀の経営統合の動きは、今後なお一層、活発化すると予想されるものの、その組み合わせは非常に難しくなって来そうだ。

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