研究者にはおなじみの論文検索サービス「CiNii」(サイニー)が廃止される、との噂がネットで出回っている。論文を検索でき、なおかつ本文も閲覧できる、研究者には欠かせないツールだった同サービス。噂は本当なのか。運営機関の国立情報学研究所(NII、東京都千代田区)に問い合わせた。論文のPDFファイルが見られなくなるサイニーは、学術論文の電子化事業「NII-ELS」の開始に伴って、1997年にオープン。これまで428の学会の1400種類の雑誌、計362万もの論文を電子化してきた。研究者はもちろん、卒業論文の執筆を控えた大学生にも広く知られている。2017年4月5日早朝ごろから、このサイニーが「廃止されるらしい」との噂がツイッターを騒がせた。「CiNii」というワードは一時、ツイッタートレンドにも入り、「めちゃくちゃ困る」「本気で言ってるの?」「まじでやばいでしょ」と悲鳴にも似た反応が相次いだ。噂は本当なのか。サイニーを運営する国立情報学研究所の担当者は5日、先般、国より論文電子化の支援として科学技術振興機構(JST)が運営する「J-STAGE」に一本化する方針が打ち出され、その方針の下、NII-ELSの終了とJ-STAGEをはじめとするサービスへの移行スケジュールが定められました。この移行スケジュールに従って2017年3月末でNII-ELSは終了し、これに伴い、CiNiiArticlesでもNII-ELSを通じて公開されていた論文のPDFデータの提供を終了しました。しかしながら、移行作業が終了していない学会の論文については、移行元ならびに移行先のどちらにおいても論文が入手できない状況が生じています。NIIはこれまで、移行作業のサポートとして、CiNiiArticlesに搭載されたデータの抽出と移行先への提供を行っており、今後も引き続き技術面でのサポート等を行うことで早期の移行に協力する所存です。移行が完了した論文についてはCiNiiArticlesの検索対象となり、入手するためのリンクが表示されるようになります。移行完了の時期については、移行先サービスのスケジュールに依存します。とコメントした。同研究所は公式サイトで、「この度、学・協会誌の電子化に対する国の支援はJ-STAGEに一本化するという国の方針が示され、また、JSTがJ-STAGELite(仮称)という、ELS参加学・協会誌の登録が可能なプラットフォームの開発に着手することが明らかにされたため」との移行理由を説明している。(追記2017年4月5日17時20分)国立情報学研究所のコメント部分を一部差し替えました。
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