ボーイズラブ(BL)を好む「腐女子」と聞いて思い浮かべる人物像は、人によってさまざまだが、中には、風呂嫌いで不潔な服装とメガネ、エロやグロな表現を見たり自分で描いたりして悶え楽しむ、と思っている人も少なくない。そうした中で、女優の栗山千明さん(32)が「腐女子」を演じるドラマが放送され、結婚シーンになると、「栗山の顏なら結婚できる」「男が放っておくわけがない」などといった声がツイッターに続出した。このドラマが放送される前から「栗山のような美人に共感できるわけが無い」などといった声が挙がっていた。「BLは私の人生そのもの!」栗山さんが主演したのはフジテレビ系ドラマ「でも、結婚したいっ!~BL漫画家のこじらせ婚活記~」。34歳独身の人気BL漫画家が「腐女子」仲間の結婚報告を機に、婚活に励むというストーリーだ。「擬態」「腐ィルター」といったオタク用語も多数出て来る。なぜ今まで結婚できなかったかといえば、「自分のやっていることを男性は理解をしてくれないから」であり、婚活を通じて知り合った男性とデートをしても、BLを全否定される事が続いた。それでも、「BLは私の人生そのもの!」と叫ぶ。やがて大学で数学の講師をしているという男性と出会い、ハッピーエンドでドラマは終了する。ネット上の反応を見る限り、ドラマ自体は好評だったがこんな声がツイッターで続出することになった。「栗山千明の顔面を持った腐女子なら結婚できるっていう絶望ドラマ?」「美人すぎて同じ腐女子でも親近感持てないww」「BL漫画家だからとか、人見知りだからとか、結局は顔なんですよ」といったものだ。これはドラマが始まる前から出ていた感想であり、ドラマが終了してその通りの感想だった、ということになる。しかし、こうした意見への反発も出ている。「DAIGOの姉ちゃんを見てみよう。BL作家は美人が多い」ツイッターには、「BL好き・腐女子にも色々なレベル、ジャンル、性癖がありますすべての腐女子がコレに萌えるとは思わないで欲しいです」「DAIGOの姉ちゃんを見てみよう。(けっこう美人よ)基本BL作家は美人が多い気がする」「BでLな作家さんで既婚者いっぱいいるし、フォロワさん方も既婚者たくさんいらっしゃるから結婚出来ないのは私くらいだよ!!!」といったことが書き込まれた。実は、「腐女子」という言葉が広く認知されるようになったのはここ最近だ。それまでは「やおい女子」と呼ばれていて、多くは男性同士の恋愛を妄想したり、イラストを描いたりする「夢見る少女」のような存在だった。06年4月から自身のブログで連載を始め、雑誌連載と単行本化された小島アジコさんのヒットマンガ「となりの801(やおい)ちゃん」でも仲のいい夫婦生活が描かれている。J-CASTニュース既報の「『腐女子』と結婚したい男性が急増中!! 婚活パーティーがあっという間に完売」(12年11月27日付け)では、「腐女子」の説明として、「高学歴で、保守的で、恋愛や結婚願望が強いという特徴がある」と書いている。「腐った女子」を自認するオタクがBLの世界に流れ込んだこの「腐女子」という言葉は「婦女子」をもじったもので、ネットスラングとして女性のオタクを揶揄した言葉として使われ、それが「腐った女子」といった勘違いに発展した。J-CASTニュースの先の記事では、「腐女子」は、もともとの「やおい」の人が大半だった。「やおい」は「腐女子」という言葉に大反発したのだが、「腐女子」の言葉が流行すると「腐った女子」を自認するオタクたちがBLの世界に流れ込み、「腐った女子」的なライフスタイルと、過激なエロ、グロのイラストをネット上に投稿するようになった。現在「腐女子」はそこがクローズアップされてしまっているため、栗山さんが演じたことに違和感を覚える人が出る事になっているわけだが、一言に「腐女子」といっても人それぞれのライフスタイル、ジャンル志向、表現方法は細分化している。そうした中で、今回のドラマは「腐女子」の評判は悪くないようだ。「『BLマンガ家に結婚なんてどうせ無理なんだ』みたいなのはあったけど『だから婚活やめよ』はあっても、『だから腐女子やめよ』は一瞬たりともなく、そこは良かったなと思う」栗山さんが、「BLは私の人生そのもの!」と叫んだことについては、「同じセリフを大声で叫びたい腐女子が日本中にいるぜ!!!」などといったことがツイッターに書き込まれている。
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