阪神・藤浪、顔面死球も「お咎めなし」 判定は正しいのか、NPBに聞いた

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   2017年4月4日の阪神対ヤクルト戦。阪神・藤浪晋太郎投手(22)が投じた顔面付近への死球をめぐり、大乱闘が勃発。二人が退場処分となった。

   だが、原因を作った藤浪投手の死球は「危険球」に該当しないとして「処罰」なし。今回の判定に問題は無かったのか――。

  • 藤浪投手(Cake6さん撮影/WikimediaCommonsより)
    藤浪投手(Cake6さん撮影/WikimediaCommonsより)
  • 藤浪投手(Cake6さん撮影/WikimediaCommonsより)

NPBの見解は?

   乱闘が起きたのは、5回表にヤクルト・畠山和洋選手(34)を迎えた場面だ。藤浪投手のストレートが、畠山選手の左肩をかすめ左頬に当たり転倒。

   直後、両軍ベンチが入り乱れる大乱闘に発展。ヤクルトのバレンティン(32)選手が勢いよく突っ込むと、阪神・矢野燿大作戦兼バッテリーコーチコーチ(48)に「直撃」。矢野コーチが「蹴り」で反撃し、二人とも退場処分となった。

   しかし、乱闘の原因となった藤浪投手は不問に付され、続投するも五回を投げて9四死球という大荒れぶりだった。

   危険球については、セ・パ両リーグが定める「アグリーメント」39条によると、

「投手の投球が打者の顔面 、頭部、ヘルメット等に直接当たり、審判員がその投球を危険球と判断したとき、その投手は試合から除かれる。頭部に直接当たった場合でも、審判員がその投球を危険球とまではいえないと判断したときは、警告を発し、その後どの投手であろうと再び頭部に当たる投球を行ったときは退場とする。危険球とは、打者の選手生命に影響を与える、と審判員が判断したものをいう」

と定義している。

   過去の死球の例をみると、元・阪神の田淵幸一氏が左側頭部にボールが当たり難聴となるなど、後遺症や致命的なケガを負わせる例は少なくない。

   今回の球審の判定は「妥当」だったのか。日本野球機構(NPB)の事務局は4月5日昼、J-CASTニュースの取材に対し、

「判定は試合の審判の判断がすべてです」

と答えた。

   球審は、さきの「アグリーメント」を踏まえた上で、その場の「状況」を考慮して判定を下すという。死球を受けた選手の状態や投じられた球種など、あらゆる要素が検討される。そのため、「審判によって判定が変わることは当然あります」(事務局)と話す。

過去には黒田選手も被害に

   藤浪投手は、大阪桐蔭高校のエースとして3年時に春夏の甲子園で連覇を達成。日本ハムの大谷翔平選手(22)とともに「黄金ルーキー」としてプロ入りした。

   13年に阪神へ入団後、ルーキーながら10勝を挙げるなど先発の柱として活躍。しかし、2年目以降は「荒れ球」が課題に。1年目にはわずか2つしかなかった与死球数が、14、15年は「11」とリーグ最多、16年も「8」とリーグ2位だった。

   この「死球」で、名選手たちを「ブチギレ」させたことでも知られる。

   14年には、中日ドラゴンズの主砲・平田良介選手の左肩付近にぶつけて激怒させ、翌日に謝罪。15年には、当時広島カープだった黒田博樹投手へ2球続けて胸付近に投じ、あわや乱闘という騒ぎとなった。

   今回の藤浪選手への対応について、ツイッター上では、

「危なすぎる。これ危険球退場にならんのや」
「頭に当たらんかったから危険球じゃないというのは、殺人未遂だから求刑よりも減刑されたというものと通じるな」
「一番の問題は『頭部に当たるのを回避けるために受けた死球が危険球にならない』点だと思う」

と、球審の判定を疑問視する声が相次いだ。

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