2024年 4月 19日 (金)

ネットメディアに明日はあるか(前編)
法政大・藤代裕之准教授に聞く 
誰も知らないニュースの「産地」

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「プラットフォームだから」はどこまで認められる

――ただ一方で、「プロバイダー責任制限法」(プロ責法)という法律もあります(掲示板などへの書き込みに関して、サービス事業者側の賠償責任を制限する法律。問題のある投稿などがあった場合は、「事後対応」が基本となる)。Yahoo!はプラットフォームなのでプロ責法で守られている、とも考えられます。

藤代 「プラットフォーム」という言葉が曖昧じゃないですか。法の趣旨から考えると、「プラットフォーム=プロ責に対応している」わけではないと思うんです。
プロ責法は不特定多数が利用するウェブサービスについて権利侵害があった際のプロセスを明確にするとともに、プロバイダーの責任が過度に追及されないようにしている。そういう意味での「制限」なんです。ただ、Yahoo!はどこがプロ責で守られる部分で、どこがメディア部分なのか、混在していてわかりにくいですね。
ニュース部門やYahoo!個人は、契約して記事の配信を受けているのでメディアで、プロ責の範疇(はんちゅう)外。ニュースの下部に表示されるコメントは誰でも書き込める「プロ責」対応部分だとしても、読者からは非常にわかりにくい。
Yahoo!に限りませんが、プロ責はいつの間にか、プラットフォームを自称するメディア化したネット企業を守るための拡大解釈に利用され、責任逃れに使われてしまった。ただ、DeNAの問題を調査した第三者委員会でも、メディアとプラットフォームの混同については厳しく指摘されています。プロ責は表現の自由にも配慮していますが、ネット企業による都合が良い解釈が続くと、規制を招きかねません。

――ただ、自分が見ているのはプラットフォームかメディアか、読者は意識しません。企業の側もそんな状況で、自分たちをプラットフォームかメディアか考えないまま今に至っているのでは。

藤代 ありえますね。でも、先程の食べ物の話に戻ると、路上販売やフリマと、スーパーとデパートとでだいぶ違うじゃないですか。読者はニュースを見ているとき、掲載場所が「フリマ」なのか、「スーパー」なのか、「デパート」なのか分かった方がいいと思うんですよ。そうしないと、読者もリテラシーを発揮できない。情報やニュースに責任を持ってくれる場所(サイト・サービス)なのか、それとも自己責任の場所なのか分かれば、あとは自分で判断できるじゃないですか。
ネット企業が実態はフリマなのに、デパートのように読者に見せているのが問題なんです。メディアとプラットフォームを混同し、プロ責の拡大解釈が続くようであれば、本では書いてないですが、プロ責そのもののあり方についても議論されていく必要があるのかもしれないですね。(後編に続く

藤代裕之氏 プロフィール

ふじしろ・ひろゆき 1973年徳島県生まれ。広島大学文学部哲学科卒業、立教大学21世紀社会デザイン研究科前期修了。徳島新聞記者を経て、NTTレゾナントでニュースデスクや新サービス立ち上げを担当。現在、法政大学社会学部メディア社会学科准教授。専門は、ジャーナリズム論、ソーシャルメディア論。近著に『ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか』(光文社新書)。

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