2024年 5月 2日 (木)

巨人が朝日「人権委」に申し立て 契約金報道めぐりバトル再燃

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   プロ野球の読売巨人軍が、選手契約金に関する朝日新聞の報道をめぐり、朝日新聞の第三者機関「報道と人権委員会」に対し申し立てを行った。2017年4月8日付の朝刊で、読売新聞と朝日新聞(いずれも東京最終版、以下同)が報じている。

   申し立て内容は、読売によると「朝日記事が不公正だったなどとして、記事の訂正・謝罪を朝日に求めるよう」、朝日によると「朝日新聞の記事によって名誉を傷つけられたとして、(中略)是正措置をとるよう」求めるもの。朝日の元記事をめぐる裁判の判決は2016年11月に最高裁で確定しているが、巨人・読売VS朝日側の争いは、まだまだ続きそうだ。

読売と朝日が報じる

   今回の8日の読売記事は、第3社会面で「『朝日判決報道は不公正』 巨人軍、人権委に申し立て」の2段見出し。記事の長さは72行。2016年11月の最高裁決定(東京高裁の判決確定)に関する朝日報道「紙面」について、

「記者がNPB(編注:日本野球機構)関係者への取材を怠ったと高裁判決で認定されたことには一切言及せず、『記事の根幹部分は真実だと認められた』とするコメントを掲載した」

と指摘。また、巨人による今回の申し立て内容として、

「朝日の主張が結論として認められた部分だけを『記事の根幹部分』と呼ぶのは著しく不当。判決報道で『公正な態度』を保とうとする意思がない」

との主張を伝えている。さらには、巨人の談話として、

「判決が契約金報道の誤りと取材の欠如を明確に認定したにもかかわらず、それらを正しく報道しない朝日新聞社の姿勢は、読者を誤導するもので許されません。報道と人権委員会が、中立的な立場から、公正な判決報道のあり方を示すよう求めます」

と掲載している。

   一方の朝日記事(8日)は、読売と同じく第3社会面に掲載。「契約金報道巡り 巨人が申立書 本社『報道と人権委』に」のベタ見出しで、24行。申し立てがあった事と、対象の記事が3本=(1)16年6月9日付、控訴審判決報道、(2)16年11月26日付、最高裁で確定報道、(3)17年1月12日付、人権委が「再審理しない」と結論の報道=である事を伝え、「『公正さを欠いている』などと主張している」と紹介している。

裁判の判決は確定

   読売、朝日の2紙が触れている最高裁の決定(16年11月24日付)を報じる翌々日の26日付朝刊の見出し(データベース検索)を比べると、

読売「契約金報道 巨人軍の勝訴確定 最高裁 朝日の名誉棄損認める」
朝日「巨人軍新人獲得の朝日新聞記事 高額契約、記述は『真実』 最高裁で確定」

と大きく異なっている。

   また、26日付記事の本文で、先に引用した「NPB関係者への取材を怠った(中略)ことには一切言及せず」(読売)に関係する部分を読み比べると、

   読売では「(高裁判決は)朝日新聞記者がNPB関係者に裏付け取材をせずに、『大幅な申し合わせの超過は許されない』と誤解したまま記事を書いているとし、(中略)巨人軍の名誉を棄損したと結論づけた」となっている。

   朝日では、判決について同様の記載はないが、巨人の広報部のコメントとして「朝日新聞が必要な取材もせずに報道した記事により(以下略)」との表現は掲載している(16年6月9日付の高裁判決を伝える朝日記事では、「NPBへの取材をせずに、今回の<巨人軍の>事例が『同じ厳重注意処分に相当する』という事実を示した」と指摘があったと触れている)。

   問題となった元記事は、朝日新聞が2012年3月15日付朝刊などで、巨人が新人6選手と、プロ野球の当時の申し合わせ(最高標準額)を27億円超える計36億円の契約金で契約したなどと報じたもの。1審の東京地裁判決では、巨人の請求を棄却。高裁判決では、朝日新聞に330万円の支払いを命じた。最高裁では、巨人と朝日双方の上告を退け、高裁判決が確定した。

   また、朝日の人権委は2012年7月、巨人の申し立てに対し、「報道と取材に問題なし」との見解を出した。その後、巨人は「見解の見直し」を求めたが、同人権委は17年1月、再審理しないことを決め、巨人に通知した。今回、巨人側はあらためて人権委に申立書を送った。

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