1秒にすら満たない瞬間的なボタン操作が勝敗を決する「対戦格闘ゲーム」。熟練のプレーヤーになれば、「1フレーム」(60分の1秒)という単位でゲームの戦術を練るのが一般的だ。そんな格闘ゲームの世界ならではの「名言」がツイッターに登場し、いまネット上で注目を集めている。それは、遠距離でのネット通信対戦における「遅延」を計算したユーザーが呟いた、「光が遅すぎる」という一言だ。「光って思ってたより遅いんだ」光の速さは毎秒約30万キロメートル。1秒間で地球(円周約4万キロ)を7周半回ることができる計算になる。これでも、格闘ゲームの熱心なプレーヤーにとっては「遅すぎる」と感じてしまうのか。「光が遅すぎる」との名言がネット上で注目を集めたのは2017年4月8日のこと。あるツイッターユーザーが「格ゲーマーの業が深すぎる」として、「『回線が遅い』とかじゃなくて、『光が遅すぎる』という結論に至った」と呟いたのだ。この投稿者は続けて、日本からブラジルまでの距離(地球半周分)を光が移動するのにかかる時間は、格闘ゲームでいえば「3フレーム」以上にも及ぶと指摘。この「3フレーム」はつまり、20分の1秒のことだ。もちろん、現実的なゲームデータのやりとりのスピードは、「光速」よりも遅れが出てしまう。それに、日常的に日本とブラジル間でデータのやりとりをする訳でもない。それでも、この言葉は熱心な格闘ゲーマーに大きな衝撃を与えたようだ。この投稿者の「名言」を受け、ツイッターやネット掲示板には、「光って思ってたより遅いんだな...」「3フレームも常態的に遅れたら、ゲーム性変わるし場合によっては途端にクソゲーになる」「『光が遅すぎる』って字面は笑うけど、真面目に考えて確かにその通りなの困る」といった反応が続出。さらには、陸上男子400メートル障害で日本記録を持つ為末大さん(38)も4月11日のツイートで、この話題に触れて「すごい世界」と驚いていた。有名ゲーマー「フレーム単位の攻防はある」実際のところ、「3フレーム」という遅れは、格闘ゲーマーにとってどれほど大きいものなのか。多くの格闘ゲーム大会に出場し好成績を残している有名ゲーマーのササさんは4月13日のJ-CASTニュースの取材に対し、「格ゲーのフレーム単位の攻防はあります。私も含めた上級者たちはその知識をもとに戦っています」と回答。「3フレーム」の遅延がゲームに与える影響については、「ゲームによりますが、1~3フレームの遅延は、上級者にとっては大きなゲーム性の違いにつながります」と指摘した。ササさんによれば、遅延が生じる場合、相手キャラクターが繰り出す技への対応ができなくなるなどの影響が出るため、「戦い方が変わってくる」という。その上で、遅延による影響はゲーム中の至る所で起きるとして、「遅延は格闘ゲームにおいては大敵です」とも指摘していた。格闘ゲームの開発で知られるあるゲームメーカーの関係者も、J-CASTニュースの取材に対し、フレーム単位の遅延は、ゲーム性を変えてしまうと認識しており、プレーヤーがフレーム単位で操作することを想定して格闘ゲームを開発していると説明した。
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