2018年 9月 20日 (木)

スゴイ記憶力を誇る「スーパー高齢者」 彼らの脳は普通の人とどう違うのか

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   高齢者の中には、同世代の人に比べ、頭の働きがしっかりして、驚くほどの記憶力を発揮する人がいる。こういう人は他の人と何が違うのか。

   人間の脳は加齢に伴い萎縮していくが、ごく一部だが、他の高齢者よりも脳の量が減らず、それが理由で頭の切れが衰えない「スーパーエイジャー(超高齢者)」と呼ばれる人々が存在することがわかった。いったい、どんな人々なのだろうか。

  • 頭脳明晰なスーパーエイジャーは謎が多い
    頭脳明晰なスーパーエイジャーは謎が多い

80歳以上で50~60代の頭脳の持ち主たち

   スーパー高齢者を日本でいえば、2017年4月現在、106歳で達者に講演活動を続けている日野原重明・聖路加国際病院名誉院長や、94歳で新聞に連載コラムを持つ作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん、元スキーヤーで99歳の時にモンブラン山を滑降した故・三浦敬三さん(享年101歳)らが知られている。この人たちは、体がきわめて丈夫なだけでなく、頭脳も明晰だ。

   「スーパーエイジャー」の脳を研究したのは、米ノースウエスタン大学の臨床神経心理学者アマンダ・クック博士らのチームだ。米国医師会雑誌「JAMA」(電子版)の2017年4月4日号に論文を発表した。論文によると、クック博士らは「スーパーエイジャー」の定義を、80歳以上の高齢者で、記憶力テストで50~65歳の年齢層と同程度の成績をとることができる人とした。そのテストとは、たとえば、短時間の間に15の単語を覚えてもらうとする。15分後にいくつ思い出せるか聞くと、80歳以上の高齢者は5つ思い出すのがやっとだ。しかし、スーパーエイジャーは9つ以上思い出せるという。

   クック博士らは、記憶力テストの結果から「スーパーエイジャー」の定義に合う頭脳明敏な24人の男女に協力してもらった。そして、同年代で認知症がない「普通」の男女12人と脳を比較した。

脳が萎縮するスピードが平均の半分以下

   脳の最も大きな部分の大脳皮質は、しわが刻まれた表層部で、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の4つの部分に分かれ、思考から発話、音声、視覚、味覚などの知覚情報のすべてをつかさどる。そして、大脳皮質は加齢とともに少しずつ萎縮していく。一般に脳は40歳頃から縮みはじめ、10年で約5%縮むといわれる。この重要な大脳皮質をMRI(磁気共鳴画像)で詳しく調べ、18か月後の変化と比較し、大きさと萎縮の進み具合を調べた。

   その結果、大半の高齢者と同様、スーパーエイジャーにも脳の萎縮はみられた。しかし、、萎縮率は平均的な高齢者が2.24%だったのに対し、スーパーエイジャーはわずか1.04%だった。平均的な同世代に比べ、萎縮した量は半分以下ということだ。

   大脳皮質の体積はスーパーエイジャーの方がやや大きかった。特に「前帯状皮質」と呼ばれる部分が分厚かった。ここは、自律神経の調節と喜びや悲しみなどの「感情」を処理しているところだ。しかし、大脳皮質全体としては、統計上意味のある違いはなかった。つまり、スーパーエイジャーの脳がしっかりしているのは、脳が縮みにくいからなのだ。

   いったい、スーパーエイジャーの脳はどうなっているのだろうか。クック博士は論文の中でこう語っている。

「スーパーエイジャーの存在は、加齢によって必ずしも認知機能が低下するわけではないことを示唆しています。今回の研究は、参加者を誕生時から追跡調査したわけではないため、スーパーエイジャーの脳の量の方が最初から多かったのかどうかは不明です。今後は、遺伝的な要因があるのか、遺伝子レベルの研究も進めたい」
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