2024年 4月 26日 (金)

富士通が「復活ののろし」 好決算で株価急伸

   富士通の株価が堅調だ。連休入り前の2017年4月28日の取引終了後に公表された17年3月期連結決算と、18年3月期の業績予想の内容が株式市場で素直に好感されて急伸。連休の谷間となった5月1日、2日に年初来高値を更新したのに続き、連休明け8日も続伸し、792.4円の高値引けとなった。15年4月に868円をつけて以来、約2年ぶりの水準だ。日本の電機産業は長年苦戦を強いられたが、ここへきてやはり年初来高値を更新しているソニーとともに復活ののろしを上げた格好だ。

   発表された決算内容は、2017年3月期の売上高が前期比4.8%減の4兆5096億円と微減だったが、営業利益は6.8%増の1288億円、純利益は2.0%増の884億円と好調。減収の主因は、外国為替市場が年間を通してみると円高傾向にあったことによるもので、為替の影響を除くとほぼ前期並みの水準だった。円高は利益にもマイナス効果を与えたが、パソコンなどを対象に国内外で進めた生産拠点の再編などコスト削減で吸収したうえ、増益に持ち込んだ。

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2018年3月期の業績見通しも注目集める

   決算発表を受けて野村証券は、「ビジネスモデル変革の進展を評価する」として投資判断を「中立」から「買い」に引き上げた。目標株価についても、680円から880円に一気に上げた。野村はその理由として、2017年3月期にビジネスモデル変革費用447億円を計上したことなどで経営効率化が進み、5%の営業利益率達成が視野に入ったことや、課題だった海外の収益性改善にメドがついたことを挙げた。また、富士通が主力としつつある自治体や大手企業などのIT投資について、堅調な推移が見込まれることも追い風とみている。

   株式市場では、2018年3月期の業績見通しも注目された。売上高は前期比0.2%減の4兆1000億円にとどまる一方で、営業利益は57.5%増の1850億円、純利益は63.9%増の1450億円を見込む。わずかに減収となるのは、ニフティの個人向け事業売却などの影響だ。ただ、スマートフォン(スマホ)向けの大規模集積回路(LSI)や電子部品が伸びる半面、欧州の人員削減などの効果も表れ、利益は大幅に増える見通しで、実現すれば純利益は3年ぶりに過去最高を更新する。不採算事業の売却や人員削減といったリストラを経て再成長軌道に乗るシナリオを株式市場は歓迎。5月8日の終値は4月28日比で14%も上昇した。

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