富士通が「復活ののろし」 好決算で株価急伸
2017.05.09 07:00
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事業再構築の手綱緩めず
富士通は事業再構築の手綱を緩めていない。現在の出資比率が51%のカーナビゲーション大手「富士通テン」について、2017年10月に保有株41%分をトヨタ自動車グループの自動車部品大手デンソーに168億円で売却すると4月28日に発表した。スマホの普及によってカーナビ専用機市場は成長を見込みにくい。一方、「ネットにつながる車」や「自動運転」などクルマまわりの将来有望な技術の開発にあたり、富士通テンを取り込むことは有効とのトヨタ側の判断があった。
通信機器が主力で「電電公社の次男坊(長男はNEC)」と揶揄された時代は遠い過去で、政府・自治体や企業向けのITインフラサービスを軸に再成長を目指す体制が整いつつある。復活によって頼りにされる面も出ている。最近では、東芝の半導体事業の買い手に日本企業が手を挙げない中、産業革新機構と米ファンドのグループの一員として参加を求められている。
ただ、ITインフラは文字通り関連技術が日進月歩の世界。有望ベンチャーの買収を含め、常に進化していないと取り残されるリスクがあり、その辺りへの対応にも市場は注目している。