2024年 4月 25日 (木)

うんこパワーで激売れ AKB大家もハマったその魅力

   いま、小学生がウーンとハマっている漢字ドリルがある。その名も『うんこ漢字ドリル』(文響社)。題名からして異彩を放っているが、最も特異なのは、全例文に「うんこ」という言葉が用いられていることだ。

   2017年3月24日の発売以来、「勉強嫌いだったが、やる気になった」「笑いが止まらない」などと大きな話題になり、2か月弱でシリーズ累計148万部を超えるベストセラーになっている。

  • 『うんこ漢字ドリル』(文響社)
    『うんこ漢字ドリル』(文響社)
  • 「うんこにも羽が生えたらいいのに」「新春のあいさつにうんこを持ってきました」
    「うんこにも羽が生えたらいいのに」「新春のあいさつにうんこを持ってきました」
  • 『うんこ漢字ドリル』(文響社)
  • 「うんこにも羽が生えたらいいのに」「新春のあいさつにうんこを持ってきました」

「うんこ拳法はまぼろしの武術だ」

   『うんこ漢字ドリル』は、小学校の学年別に6種類。1年生から6年生までに習う漢字は1006字あり、それぞれに3例ずつ計3018の例文すべてに「うんこ」という言葉が用いられている。

「林間学校に行ってみんなでうんこをした」
「うんこを使って、がけから落ちそうな人を救う」
「うんこ拳法は、どの流派にも属さないまぼろしの武術だ」

   あり得そうなものから奇々怪々なシチュエーションのものまで、思わず笑ってしまう例文がずらり。「うんこ」という言葉に過剰反応してしまう小学生の心を見事につかんだ。SNSには

「うんこに心を奪われて、有り得ないくらいドリルに集中する息子」
「国語嫌いな娘にうんこ漢字ドリル買い与えたら驚く程自主的に勉強している」
「うんこ漢字ドリルのおかげで漢字テストの点数が良くなっていってる」

といった購入者の口コミが相次ぎ、話題沸騰。親が子どもに買い与えるだけでなく、プレゼント用、自分用に購入する大人も多い。AKB48のメンバーで、おバカキャラとしてクイズ番組でも活躍する大家志津香さんも購入を報告している。

   大手通販サイト「Amazon」では、本(総合)の売れ筋ランキング1~6位を『うんこ漢字ドリル』が独占(5月15日夕現在)。1位は2年生用だった。記者が訪れた都内の書店では、他の学習ドリルとは別に『うんこ漢字ドリル』専用のラックが設けられ、2年生と3年生用のものが売り切れ、その他の学年も在庫残り僅かとなっていた。

うんこの生々しさを感じさせないように

   一体なぜ「うんこ」に特化したドリルを出版したのか、J-CASTニュースが2017年5月15日に同社編集部に取材したところ、「当初は本当にやるのかな?」と思ったと明かした。

   『うんこ漢字ドリル』の起源は、脚本家の古屋雄作さん考案の「うんこ川柳」。同社の山本社長が面白いと気に入り書籍化も考えたが、最終的に「うんこ」を使った文章を活かせる漢字ドリルの制作に決まったという。ドリルの例文は古屋さんが一人で全て担当し、子どもが学習するうえで機能的に問題ないか、例文が適切か、など熟考を重ねた。

   表紙を飾るキャラクター「うんこ先生」にもこだわりがみられ、

「汚い・下品といったイメージを想起させないように、蛍光カラーを用いたポップでカラフルな色遣いにし、メガネと髭で知的な要素をプラスしました」

と話すように、「うんこ」という題材を扱ううえで、「うんこの生々しさを感じさせずに記号的に扱う」ことを念頭に置いてきたという。

   うんこに対する思いは、古屋さんの映像作品「『うんこ川柳』創始者 武蔵寛(78)」というフェイク・ドキュメンタリーのなかの一言、

「子どもたちがそうなんですけど、私が日本文学を教えたりですね、川柳を聞かせたり、俳句を聞かせても、なんかこう身が入らないというか。ある日子どもたちが『うんこ』という言葉に非常に興味を持って、色々話して嬉々として『うんこ』をいろんな言葉に例えて話しているのを聞いて、これだと」

からも窺い知ることができる。

   シリーズ累計の発行部数は148万1000部(取材時点)と、同社一のベストセラー『人生はニャンとかなる!』シリーズに迫る勢い。

「低学1・2年生向けの発行部数が1番多いですが、全学年・性別関係なく、まんべんなく売れています。当初、女の子にはどうかな...といった懸念もありましたが、女の子もかなり笑ってくれています。『1日で1冊やりきった』という小学校3年生の女の子もいました」

   現在、漢字以外のジャンルの出版も検討中だという。

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