2020年東京オリンピックを取り巻く話題は政治絡みばかり。こんな状況のなかで、五輪終了後に地獄のツケが回ってくる、との声が聞こえる...。五輪費用はいったいどのくらいかかるのか。恐らく正解を答えられる関係者はだれもいないだろう。都も国も、ましてや組織委員会は。「そのくらい無責任な数字が飛び交っている」冷ややかな本音がメディアから流れてくる。そうだろう、と相づちを打つ人が多い。2017年5月21日付けの朝日新聞に、思わずドキッとする特集が掲載された。「リオ 実らぬレガシー」昨年のリオデジャネイロ(ブラジル)で開催された五輪の後始末をレポートしたものである。サイド見出しもショッキングな字句が並んだ。「五輪施設放置 資金難と無計画」 「消化器散乱、たまる汚水」(水泳会場)そして、怖い文句がこれ。「東京の後利用 民間頼み」東京に誘致が決まった後、確かに後利用の話は消えた。実は大会終了後、どこでも苦労した。日本では1998年の長野冬季五輪だ。経費は県民の多額の税金が投入されただけでなく、終了後も長く支払いに追われたという。景気が悪くなればスポーツなどは朝日新聞は、リオ五輪の主な施設の計画と現状を表にしている。それによると、ほとんどが「手つかず」「廃墟」「赤字経営」。まさしく東京への警鐘である。東京五輪の関係者は「誘致すること」「競技会場を造ること」が目的で、その後のことはかなりいい加減な説明をしている。つまり、その後には関わりたくないのだと思われる。競技団体も、専用施設を造ることが目的であって、その後の運営も人任せの感じがしてならない。使用前も使用後も、税金に面倒みてもらう、ということである。今は「レガシー」とか「子供たちに希望を」などと言っているが、ひとたび景気が悪くなればスポーツなど見向きもされなくなる。バブルの後を見れば分かる。「おもてなし」の宴が終わった後は「地獄のツケ」とならないことを祈るばかりである。朝日新聞のレポートは本当に怖い。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)
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