加熱式たばこバトル 減少「紙巻き」の救世主となるか

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   火を使わず臭いが少ない「加熱式たばこ」の販売が熱を帯びてきた。先行する米フィリップモリス(PM)を追撃しようと、日本たばこ産業(JT)と英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が2017年6月以降、相次いで東京でも展開する。喫煙者の減少に歯止めがかからないだけに、各社とも、他社の顧客を奪おうと必死だ。

   加熱式の市場を牽引するのが、PMの「アイコス」だ。2014年秋に名古屋市限定で販売を始め、16年春に全国販売。東京・銀座など全国8か所に専門店を構える。これまでに300万台を販売する大ヒットとなっており、加熱式市場のシェアは9割、たばこ市場全体でも1割のシェアを占めるとされる。将来は世界中の紙巻きたばこを加熱式に置き換えたい考えだ。

  • (画像はイメージです)
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仙台の限定発売は「事前の予想を上回る売れ行き」

   「アイコス」の快進撃に焦っているのはJT。2016年春、福岡市とインターネット限定で「プルーム・テック」の販売を始めた。17年6月末から順次、銀座や新宿などの専門店や、渋谷区、港区など都心部のたばこ販売店で取り扱う。18年上半期には全国展開する予定だ。

   ロイター通信によると、JTの小泉光臣社長は2018年末までに約500億円を投資し、紙巻きたばこ換算で約200億本の生産体制を整えると述べた。200億本は国内たばこ市場全体の8分の1、「加熱式」の半分に当たる。たばこ全体では約6割のシェアを誇るだけに、加熱式でも王者の貫禄をみせたいところだ。

   BATは2016年末、「グロー」を仙台市内で限定発売。「事前の予想を上回る売れ行き」で、仙台市内では紙巻きたばこを含むシェアは17年5月15日時点で7.6%を獲得、成人喫煙者の5人に1人が購入した、と手応えをつかむ。7月に大阪・梅田と東京・青山に旗艦店を出店し、年内には全国で取り扱う計画だ。BAT日本法人のロベルタ・パラツェッティ社長は5月30日、東京都内で開いた記者会見で「加熱式はまだ始まったばかり。市場のリーダーになりたい」と意欲をみせた。

あくまでも紙巻きからの置き換え

   各社が力を入れるのは、紙巻きたばこ市場が先細る中、加熱式は救世主となる可能性を秘めているからだ。日本たばこ協会によると、2016年度の販売数量は1680億本で、ここ20年前で半分に減った。数量の減少を少しでもカバーしようと値上げを実施し、さらに数量が減るという悪循環が続く。この先も20年の東京五輪へ向けて受動喫煙対策が強化される見通しで、喫煙者は肩身がますます狭くなる。

   そんな中、においや煙の大半を抑えた加熱式は「革新的な商品」として喫煙者に受け入れられつつある。味や「吸いごたえ」は紙巻きたばことは異なるが、「まあ満足」「これなら我慢できる」という層もいる。

   ただ、あくまでも紙巻きからの置き換えであり、新規の喫煙者が増えるわけではないという現実がある。JTの調査によると、1960年代のピーク時には8割を超えていた成人男性の喫煙率は、直近では3割以下に落ち込んでいる。紙巻、加熱式を合わせたたばこトータルで見れば、販売を増やすというより、いかに穏やかに減少させるかを競う販売合戦といえる。

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