適量の飲酒もダメ? 英研究で脳に影響と報告

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   飲酒はほどほどならば健康効果ありともいわれるが、英国での最新の研究では適量であっても脳に重大な影響が及ぶ可能性があるという。

   同研究は、30年間にわたり約1万人を追跡した調査を使い研究したものだが、その調査には、飲酒習慣の詳細から定期的な脳検診やMRI検査も含まれており、研究では飲酒による脳への影響を分析した。

  • 英国民保健サービス(NHS)によるアルコール摂取量に関する新ガイドラインでは、男女とも1週間に14ユニットとし、ワインなら度数14%のものを大きめのグラスで5杯、ビールなら度数5.2%のもの4パイント(英1パイントは568ミリリットル)=発表論文から
    英国民保健サービス(NHS)によるアルコール摂取量に関する新ガイドラインでは、男女とも1週間に14ユニットとし、ワインなら度数14%のものを大きめのグラスで5杯、ビールなら度数5.2%のもの4パイント(英1パイントは568ミリリットル)=発表論文から

公務員対象「ホワイトホール研究II」を分析

   発表されたのは、オックスフォード大学とロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)による研究の一部で、その論文が2017年6月7日付で英医師会誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」のウェブサイトに掲載された。

   同研究は、1985年から英国の公務員を対象に実施されている「ストレスと健康」に関する著名な臨床試験「ホワイトホール研究II」を使い、550人の1週間ごとのアルコール摂取に注目し、さらに脳の定期検診とMRI検査を合わせて分析の対象にした。

   研究ではまず、飲酒量が最も多いグループは脳内で海馬委縮を発症するリスクが最も高いことに注目。海馬萎縮は、空間認知に影響を及ぼす可能性があり、また、アルツハイマー病や認知症に似た記憶障害を起こす可能性がある。

   また、平均より多い飲酒のグループでは言語の能力の衰えを経験する時期が早くおとずれ、MRI検査では、しばらくすると認知機能にきわめて重要な影響を及ぼす症状がみられたという。

飲まない人に比べ海馬萎縮リスク3倍

   これまでの研究のなかには、より多くの飲酒量を継続した場合に脳の変化があることを指摘するものがあったが、今回の研究では、飲酒が適量であっても脳に影響がある可能性があるとする。「適量」グループでは、全く飲まないグループに比べ海馬萎縮リスクが3倍高かったのだ。

   論文の共著者の一人、オックスフォード大精神科のアニヤ・トピワラ博士は「適量か、それより少ない量の飲酒の場合に、なんらかの防護効果が見いだせなかったのは驚き」という。「適量以下の軽い飲酒」のグループでは、脳への影響では飲まない人たちとの有意の差はなかった。

   欧米では、グラスワイン1杯などを伴う「地中海ダイエット」や、米国立心肺血液研究所が高血圧を予防し治療するために推奨し、アルコールも1日1杯までなら飲んでもOKとしている「ダッシュダイエット」がもてはやされているが、今回の研究結果は、こうしたダイエット法にも冷水を浴びせるような内容だ。

   今回の研究で「最も飲む」グループに分類されたモデルでも毎晩深酒をしているわけはない。同グループの定義は「1週間30ユニットのアルコール消費」。1ユニットは「10ミリリットルあるいは8グラムのアルコール」。中程度のグラスワイン1杯、また、ビール1パイント(英1パイントは約568ミリリットル)がだいたい2ユニットになるという。製品別のアルコール度数により異なる。「適量」グループは、1週間に14~21ユニットの摂取で、毎晩中程度グラスで1杯のワインと週末にも少々飲む人たち。

栄養面の考慮なしの指摘も

   この研究発表をめぐって、ハーバード大学医学部で長年にわたりアルコールの影響を研究している、エリック・リム教授は、米CATVのニュース専門局CNNに、適量の飲酒を心掛けている人たちは、この研究発表があったからといって酒宴をあきらめる必要ないと述べる。

   リム教授は 「この研究には、ほかの多くのライフスタイルファクターが入っていない。たとえば栄養面など。全粒穀物やフルーツ、野菜をたべていれば、認知が低下を遅らせることができる」と述べ、脳の機能の低下をアルコールだけに帰するのは限定しすぎだという。

   また、別の専門家は、アルコール摂取の質問では、量などについて正直に答えない傾向があることを指摘。アルコールと健康について容易には因果関係があるとの結論を出せないという。

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