複数のまとめサイトで、ある新入社員のビジネスマナーが話題になっている。「ベージュの無難なトートバッグで出社したら、怒られた。カバンはなんでもええやろ?」という問いかけだ。これに対しネットでは、賛否両論、さまざまな意見が飛び交っている。ビジネスマンのトートバッグはアリなのか、ナシなのか――。J-CASTニュースは、専門家に話を聞いた。スーツにリュックで来る人もいる2017年6月11日に立てられた話題のスレッドは、「【悲報】新入社員ワイ、会社にトートバッグで出社しただけで怒られる」というもの。この中でトピ主は、「(営業職でない)技術系社員の自分が、カバン変えたところでなんの問題があるのか」「大学生の時に使ていたものをせっかくなので使おうと思った」(原文ママ)と、訴えている。トートバッグは、物の出し入れがしやすいよう、鞄の上部が開いた、丈夫で厚みのある手提げ鞄のこと。今ではバリエーションも増え、手持ちや肩にかけられるほど取っ手の長いものもある。同じスレッドでは意見は真っ二つだ。「一応体裁ってのがある 極論キックボードで出社とかありえねーだろ」「通勤バッグならOKじゃないかな。そのバッグで取引先に会うのはアウト」「ドレスコードがある会社もあるから総務に確認したほうがいいよ」と、マナー問題を指摘する声の一方で、「しっかりとした話ができる奴なら、バッグぐらいなんでもいい」「こんなことで怒られるんかい」「リュックやショルダーバッグで行ってるわ。上司もそんな感じ。技術よりだからかね」「手提げやと、つり革掴まったら両手塞がるし嫌なんだよなあ。床に置きたくもないし」と、今どき鞄は何でもいい、そもそも手提げが使いにくいという意見も少なくない。実際のところ、若い男性社員たちはどう思っているのか。IT業界勤務経験もある、都内の社会人2年目の男性会社員に13日、取材したところ、「就活の時にセミナーで手持ちの黒い鞄で、と教えられました。リュックは絶対ダメと言われたのを覚えています。社会人2年目ですが、やっぱりスーツにトートバッグは抵抗がありますね。なんとなくハメを外している感じがして避けたいです」と、トートバッグに否定的な意見だった。一方で社会人7年目の、やはり都内で勤務する広告系業務に携わる男性会社員の意見は寛容だ。「就活の時は自分で調べて手持ちの黒バッグが『正解』だと思って使っていました。でも、今は客先でもスーツにリュックで来る人もいますし、あまりその辺は気にしないですね。業種にもよるとは思いますが」ビジネスマンは通勤だけでもトートバッグはNGなのか。NPO法人「日本サービスマナー協会」のマナー講師に12日に話を聞いた。男女差はあるのか?「まず、ビジネスシーンで求められる鞄の要素は、(1)身だしなみとして相手に不快感を与えないもの、(2)書類の保管力、保存力 の2つです。このことから最も理想とされるのは、黒など落ち着いた色で自立できる(倒れない)、取り出し口にファスナーの付いた鞄ですね」そもそもトートバッグは、入口部分にファスナーがないので、濡れてしまったり落としてしまったり、場合によっては盗まれてしまう可能性があるため、ふさわしくないということだ。では、ファスナー付きの肩掛け鞄ならどうなのか。就職活動中の学生を見ると、女子はファスナー付きの肩掛け鞄を使っている人が多い。このあたりにも男女差があるように見えるが。「従来、肩掛け鞄はカジュアルなシーンで使うことが多かったので、男性の場合、そのことが影響していると思います。イメージでふさわしくないと判断されることが多いため、避けられているのでしょう」近年、ビジネスファッションも多様化して肩掛け鞄も見られるようになったが、「あくまで大事なのは相手に与える印象。身だしなみです」と、マナー講師は話す。「リュックも同様です。リュック自体、カジュアルな場面で使われることが多いですよね。そのためフォーマルなものではない、と判断されます」
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