2024年 4月 27日 (土)

フリーゲージ導入は「風前の灯火」 長崎新幹線にさらに暗雲

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FGTは九州内でしか走れない可能性

   これに加えて、肝心なFGTの開発が難航している。FGTの開発は鉄道建設・運輸施設整備支援機構が担当しているが2014年には走行試験中に車軸で不具合が起きて試験が中断。16年11月に開かれた国土交通省の評価委員会でも「耐久走行試験に移行する条件は満たされていない」と判断。17年夏に改めて委員会を開き、耐久走行試験の可否を判断することになっている。

   安全面に加えて、経済面での懸念も出ている。FGTは従来の車両に比べて構造が複雑なため、仮に完成したとしてコストは3倍程度になるとみられているためだ。これに加えて、フル規格の九州新幹線鹿児島ルートは新大阪まで乗り入れているのに対して、FGTは九州内でしか走れない可能性が高い。博多~新大阪の山陽新幹線の最高速度は時速300キロだが、FGTの最高速度は270キロ。ダイヤ編成上の問題から、JR西日本が乗り入れに難色を示しているためだ。こういった点を念頭に、JR九州の青柳俊彦社長も記者会見で、繰り返し安全性や経済性への懸念を口にしてきた。

   そういった中で、日本経済新聞が6月14日の朝刊で、JR九州がFGT導入を「断念する方針を固めた」、朝日新聞も同日朝刊で「断念する方向で検討していることがわかった」と相次いで報じた。

   仮に、この「断念」の検討が本格化すれば、JR九州が取り得る選択肢は大きく(1)新鳥栖~武雄温泉もフル規格で整備する(2)「暫定開業」のまま「リレー方式」を続ける、のふたつだとみられる。前者は数千億円単位の負担増、後者は短縮効果が10分程度に小さくなる結果を招くことになり、いずれも地元の反発を招きそうだ。

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