2024年 5月 4日 (土)

ハリルホジッチ采配が悉く裏目 「自分たちで首絞めた」イラク戦

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   「自分たちで自分たちの首を絞めてしまった」。DF吉田麻也がそう振り返るように、「自滅」のような形でのドローだったかもしれない。

   2017年6月13日に行われたワールドカップ(W杯)アジア最終予選第8戦のイラク戦は、試合前からけが人が続出していたこともあり、これまでにない布陣に大幅変更。1枚目の交代カードも早めに切ったが、こうした采配がことごとく裏目に出た。

  • ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(2016年8月撮影)
    ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(2016年8月撮影)
  • ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(2016年8月撮影)

スタメン、ポジション、システムを大幅変更

   日本はMF香川真司とMF山口蛍の中盤2人を欠き、スターティングメンバーとポジション、システムもこれまでの1ボランチの4-3-3から4-2-3-1に大幅変更された。大迫勇也のセンターFWは据え置かれたが、右ウイングが定位置となっていたFW久保裕也は左サイドハーフに、左で起用されていたFW原口元気はトップ下に置かれ、右サイドハーフはFW本田圭佑。ボランチは3月の2連戦で活躍したベテランのMF今野泰幸をけがの影響も考慮して外し、MF井手口陽介とMF遠藤航の若い2人に託した。

   試合は前半8分に本田のCKから大迫がヘディングで合わせて先制したが、その後は気温37度を超えるイランの猛暑と、不慣れな深い芝生のピッチコンディションに苦しめられた。前半28分には大迫が相手ペナルティエリアに進入した際、イラクの選手に後ろから引っ張られて倒されたが笛は吹かれなかった。

   日本がボールを回して優位に試合を進める時間は減り、足も止まり始めた。逆にイラクは後半に入っても最前線でボールを収める場面が少なくなく、ペースをつかみ出した。そして後半27分、自陣ゴール前のこぼれ球を吉田とGK川島永嗣が「お見合い」。処理が遅れて川島がキャッチできず、イラクのゴールを許した。最終予選敗退が決定しているイラク相手にドローで試合を終えた。

   川島は試合直後のインタビューで「僕は『クリア』と言っていたけど、麻也には(後ろから来るイラクの選手が)見えていなかった。もったいない失点になってしまった」と悔やんだ。吉田は「なかなか無失点で終えられるゲームが少ないので悔しい。自分たちで自分たちの首を絞めてしまった」と振り返ったが、自身が絡んだ失点シーンへの直接の言及はなかった。

釜本邦茂氏「自分たちでちぐはぐな戦い方を選んでしまった」

   低調な試合ぶりにサッカー解説者の釜本邦茂氏は14日付「サッカーダイジェストWeb」で、「わざわざ自分たちでちぐはぐな戦い方を選んでしまったように感じるよ」と振り返っている。「監督の選手起用」に異議を唱えており、ボランチについては「中盤の最も軸になるべきところを経験の浅いふたりに任せて良かったのか」と疑問を呈した。後半17分には、負傷の井手口にかえて今野を投入したが、「なんで最初から経験豊富な選手を使わなかったのか理解に苦しむ」と批判した。

   釜本氏は前線についても、香川ら負傷者が出たとはいえ、定着しつつあった久保と原口の位置を変えたことに「いろんなエリアで玉突き的にポジションが変更されている。こうなっては、いつもとだいぶピッチ内の雰囲気が変わるだろうし、リズムを生み出しにくくなるのも当然だ」と斬った。

   日本は失点後、攻めの一手を打ちたい状況になったが、直前の後半25分、最終予選4戦連続ゴールの原口を下げてMF倉田秋にかえていた。さらに後半32分、DF酒井宏樹も負傷し、最後の1枚としてDFの酒井高徳投入を余儀なくされた。ハリルホジッチ監督は試合後のインタビューで「最後に速いFWを投入するという戦略を練っていたが、けがが問題だった」と述べ、当初のプランとまったく異なる戦いとなった。

   予期せぬ負傷交代が2枚切られたわけだが、サッカー解説者のセルジオ越後氏は14日付「サッカーキング」で、「今回のメンバー編成には監督の甘さが出たのではないか。ケガ人が多発したが、代表にはつきもので言い訳にならない」「采配も後手でクエスチョンマークだね。監督が何をしたいのか、どうしたいのかがますます見えなくなったよ」とハリルホジッチ監督を非難していた。

   引き分けで日本は勝ち点17とし、かろうじて首位を保ったが、オーストラリア(豪)とサウジアラビアは勝ち点1差の16とほとんど差がなく3チーム並列でトップ争い。残りは2試合ずつ。日本が豪とサウジの強敵2国と戦わねばならないのに対し、豪は最下位のタイ、サウジは4位のUAE(アラブ首長国連邦)が相手。グループ2位までがW杯出場権を得られる(3位はプレーオフ)が、3チームで日本が一番厳しい状況に追い込まれた。

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