和歌山の医薬品メーカー「違反」の余波 大阪の同名会社に苦情殺到のとばっちり

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   和歌山市にある医薬品原料メーカー「山本化学工業」が、風邪薬に安価な中国製品を無届けで混ぜ、出荷していた――。2017年6月21日以降、主要メディアがこのニュースを一斉に報じると、「火の粉」があらぬ方向へ飛んで行った。

   実は全く同じ社名の会社が、大阪市にある。こちらは競泳用水着や医療機器のメーカーで、問題となった和歌山の会社とは一切関係ない。だが、勘違いした人たちからの苦情が寄せられ、困惑している。

  • 緊急記者会見の様子(大阪・山本化学工業より画像提供)
    緊急記者会見の様子(大阪・山本化学工業より画像提供)

医薬品は製造しておらず、全くの無関係

   「『山本化学工業』の報道についてお間違えの無いようお願いします」 2017年6月22日、大阪市の山本化学工業がこう題したリリースをウェブサイト上に公開した。和歌山の同名の原薬メーカーが起こしたとされる、無届けの成分混入を巡る報道が出てすぐに「弊社と同じ社名の和歌山にある原薬メーカーです。弊社とは一切関係ありません」と明確にしたのだ。フェイスブックにも、同様の「お願い」を投稿した。

   J-CASTヘルスケアの電話取材に応じた同社メディア企画の担当者は、22日のサイトのアクセス数は通常の127倍に急増したと話した。無関係である大阪の山本化学工業に対して、「問題を起こした」との誤解に基づく情報がインターネット上で拡散し、収まる気配がなかったため、6月26日に山本富造社長が緊急記者会見を開いた。

   会見では、特にテレビ報道で社名が繰り返された影響もあり、苦情のメールや電話が増えたと経緯が説明された。こうした問い合わせに対して、「医薬品を製造していない」「(和歌山は)全く関係のない会社」と説明し、理解してくれた人もいるが、説明を全く聞き入れずに電話口で怒鳴るばかりの人や、メールで一方通行の非難も非常に多く、しかも報道のたびに増えていった。

   同社が製造する競泳用水着は、ロンドン五輪やリオデジャネイロ五輪で選手が使用した実績があり、2020年の東京五輪に向けて選手のサポートも続けている。会見の中で山本社長は、

「スポーツの世界においても、間違った認識のままだと信頼性を失い、われわれが作ったものが選手のパフォーマンスを上げるだけの力があったとしても、『あそこの会社が問題』となるとそこで(関係が)立ち消えになることがあり得る」

と、危機感を募らせた。

「会社の信頼性が非常に大事」と社長

   全くの偶然による「社名の一致」から生じたハプニングだが、事業に悪影響を及ぼす可能性が出てきたら放置はできない。会見で山本社長は、和歌山の会社とはビジネスが異なるうえ「全くの他人、無関係、血縁関係もいっさいありません」と強調。また「会社の信頼性が非常に大事」であり、製品の技術力、安全性と並んで、ひとつでも欠けたら大変だと話した。

   6月26日付の朝日新聞朝刊は、和歌山の山本化学工業が、「てんかん発作の治療薬に使われる『ゾニサミド』の製造でも混ぜる薬剤を無届けで変更していた」と、同社関係者の話を基に報じた。同社は朝日新聞の取材に、「いまだ処分が決まっていないので、回答は保留させていただきます」とコメントした。

   くしくも大阪の山本化学工業が緊急会見を開いた日の朝に報道されたが、その影響を同社メディア企画の担当者にたずねると、「(問い合わせや苦情は)少し増えた程度。22日の(風邪薬に中国製品を無届けで混ぜたとの)報道の比ではありませんでした」。徐々に誤解は解けてきたようだが、予期しない事態に振り回された格好だ。

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