2018年 5月 27日 (日)

金融庁は、本当に「育成庁」になれるのか 検査局廃止と脱「処分庁」の関係

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   金融庁が2018年7月に、金融機関の経営健全性をチェックする検査局を廃止する。バブル経済崩壊後、銀行に苛烈な検査を実施して不良債権処理を迫り、金融庁を代表する存在だったが、金融機関が健全性を取り戻した今の時代に合わせて組織を再編する。1998年に金融行政が旧大蔵省から分離されて以来の組織大再編は、就任3年目に入った森信親・金融庁長官の改革の総仕上げとなる。

   「金融機関の育成を優先する時代になったので、体制を変えていこうという趣旨だ」。麻生太郎金融相は17年8月29日の記者会見で、検査局を廃止する狙いについてこう説明した。

  • 組織再編をした金融庁は今後変わっていけるのか(画像はイメージ)
    組織再編をした金融庁は今後変わっていけるのか(画像はイメージ)

「不良債権比率の低下」と「副作用」

   検査局が強権を振るい、行政処分を連発して「金融処分庁」と恐れられたのは2000年代。小泉純一郎政権のもと、竹中平蔵金融相(当時)が2002年に作成し、大手行の不良債権比率を半減させると宣言した「金融再生プログラム(竹中プラン)」に基づき、容赦ない検査で銀行の不良債権を暴いた。

   2004年には、旧UFJ銀行を銀行法違反(検査忌避)容疑で刑事告発し、元役員らが逮捕、起訴される事件に発展。旧UFJ銀行は旧東京三菱銀行との合併を余儀なくされるなど、検査は業界再編のツールでもあった。

   検査局に逆らうとどうなるのか、をまざまざと見せつけられた金融業界は震え上がり、すっかり牙を抜かれて不良債権処理にまい進した。その結果、今では大手行の不良債権比率は極めて低い水準になり、健全性の面では十分合格点が付く。

   だが、「副作用」も生じた。金融機関が金融庁の顔色をうかがい、忖度ばかりするようになったのだ。日銀が大規模な金融緩和でお金を供給しても、銀行は失敗を恐れてリスクを取ろうとせず、貸し出しの伸びは鈍いまま。将来、成長するかもしれないベンチャー企業などにお金は回らず、日本経済の低成長にもつながっている――金融庁にはそんな銀行への不満がある。

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