2024年 4月 24日 (水)

プロ野球選手も苦しむ潰瘍性大腸炎 症状が消える人と再発する人の差は

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   プロ野球のレギュラーシーズンが大詰めを迎える中、オリックス・バファローズの内野手、安達了一選手(29)の入院が球団から明らかにされた。安達選手は2016年の開幕前に難病の潰瘍性大腸炎と診断され、今季終了前に再度症状が悪化したもようだ。

   潰瘍性大腸炎は安倍晋三首相の持病として知られる。一度は首相を辞任する原因となった病気だが、2012年に首相に返り咲いて以降、症状は安定しているようだ。2人の間に何か「差」はあるのか。

  • 安達選手がプレーするオリックスの本拠地、京セラドーム大阪
    安達選手がプレーするオリックスの本拠地、京セラドーム大阪
  • 安達選手がプレーするオリックスの本拠地、京セラドーム大阪

男性20~24歳、女性25~29歳が発症のピーク

   安達選手は2012年にオリックスで1軍デビューし、14年には143試合出場、打率2割5分9厘の成績を残した。翌15年にもキャリアハイとなる11本塁打を放つが、そのオフに病魔に襲われた。

   製薬会社ヤンセンファーマが運営するウェブサイト「IBD LIFE」に、安達選手のインタビューが掲載されている。症状が出始めたのは15年シーズン後の秋季キャンプで、「トイレに行きながらトレーニングをこなしていました」と明かす。その回数が1日20~30回になり、16年1月に潰瘍性大腸炎と診断される。「もう野球ができないかもしれない、という不安はありました」というなか、1か月の入院を余儀なくされた。それでも開幕後の16年4月12日(北海道日本ハムファイターズ戦)で1軍に復帰し、3打数2安打と活躍。この年は118試合に出場することができた。

   今季は開幕からスタメンを任されたが、17年5月と8月にいずれも体調不良で一時登録を抹消。そして9月27日に、「潰瘍性大腸炎の再燃」が発表された。

   「難病情報センター」のウェブサイトによると、潰瘍性大腸炎は男性20~24歳、女性25~29歳が発症のピーク。下痢や血便、けいれん性または持続的な腹痛をともなう場合もある。発熱や体重減、貧血といった症状が起こる。

   また「多くの患者さんでは症状の改善や消失(寛解)が認められますが、再発する場合も多く」ともある。安達選手のケースは、決して例外ではないようだ。

きちんとした治療継続が「再燃」を左右する

   J-CASTヘルスケアは大腸の専門医、「ときとうクリニック」(さいたま市)院長の時任敏基氏に、潰瘍性大腸炎について詳しく聞いた。

   まず潰瘍性大腸炎は原因不明の疾患で、罹患を防ぐ手立ては基本的にない。「かかりやすい体質」の有無も、現在明らかになっていないが、「多くの患者さんは『以前から胃腸が弱かった』と話すので、幼少期など発症以前から何らかの症状は出ている可能性はあります」との説明だ。

   では、症状が消える人とそうでない人の間に、何か差はあるのか。

   潰瘍性大腸炎の場合、治療目標は「寛解」と呼ばれる、症状が落ち着いた状態だ。症状が悪化した際は「再発」ではなく「再燃」という語句で表す。寛解と再燃を繰り返す病気だが、安倍首相の場合、2012年12月に首相「再登板」となって以降は再燃により入院したという話は聞こえてこない。この点、時任医師は、安倍首相が「『再燃』しない人なのではなく現在『再燃』が認められていないだけ」という。つまり、再燃しないようにきちんとした治療を継続しているからで、再燃するかしないかの「差」はこの点にある。

   それでも再燃するケースはあり、「最終的に大腸全摘術を受ける事が必要になってしまう患者さんも少なからずおられます」。

   基本的な治療は「5アミノサリチル酸(5ASA)という薬を大腸粘膜に触れさせて炎症を抑える」と、時任医師。これでコントロールが難しい場合は、さらにさまざまな薬を使用する。ステロイドでも寛解が困難な症例もあるが、その場合でも治療法が近年かなり進歩し、「現在では手術に至る症例はかなり減少してきています」。

   患者本人が気を付ける点は、食事だ。刺激物、脂肪分、明らかに消化の悪いものの過剰摂取は避けるべきだ。病状によって食事も変わってくるので、ときとうクリニックでは管理栄養士が栄養指導、相談をしているという。

   寛解になっていれば、ほとんど通常の日常生活が可能だ。安倍首相が激務をこなしている点からも、それは明らかだろう。安達選手も、再び寛解となれば早期復帰、来シーズンは開幕スタメンに名を連ねることが可能だ。

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