2024年 5月 2日 (木)

過労死記者の両親がNHK説明に反論 NHKはどう報じたか

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   過労死したNHK記者・佐戸未和(さど・みわ)さん(享年31)の両親が会見を開き、NHKの説明に事実誤認があると述べた。

   NHKは、未和さんの死の公表を遺族が望んでいない旨や、未和さんが所属していた首都圏放送センターの責任者が遺族に謝罪した旨を説明していた。ところが両親は、これらの事実を否定した。NHKはこうした主張をどう捉えているか。

  • 過労死した記者の両親は会見を開いてNHKの説明に反論した(写真は東京都渋谷区のNHK放送センター)
    過労死した記者の両親は会見を開いてNHKの説明に反論した(写真は東京都渋谷区のNHK放送センター)
  • 過労死した記者の両親は会見を開いてNHKの説明に反論した(写真は東京都渋谷区のNHK放送センター)

「非公表意向」は「事実ではありません」

   未和さんは2013年7月に亡くなり、労働基準監督署は14年5月、長時間労働による過労死だとして労災認定した。NHKは4年後の17年10月4日、未和さんの過労死の事実を公表した。

   死から4年経って公表した理由について、上田良一会長は5日の会見で、両親の代理人から「公表を望んでいない」という意向を受け、配慮が必要という事情があったと説明した。17年の命日の時期に、その意向が「少し変わった」との報告を受けたという。

   だが、未和さんの両親は13日に厚生労働省で開いた会見で、非公表の意向について「事実ではありません」と主張した。出席した代理人弁護士は、公表しないよう自身から要請することはないとし、両親は、突然の娘の喪失感と悲しみで公表を考える余裕がなかった旨を説明。NHKの説明と食い違いをみせた。

   また、NHKの担当者は上記5日の会見で、労災認定された14年に首都圏放送センターの責任者が両親を訪れて謝罪したと説明。17年9月には放送総局長から謝罪したとしている。

   しかし未和さんの両親は13日の会見で、NHKが14年の労災認定後に謝罪したとしていることについても、お詫びの言葉はなかったとして「事実ではありません」とした。謝罪は17年9月までなかったといい、両者の認識にはズレがある。

   多くのメディアは14日、こうした食い違いに焦点を当てて両親の会見を報じた。ウェブ版記事をみると、「NHK記者過労死 再発防止を...両親「『公表望まず』否定」(毎日新聞)、「『NHKに非公表を要望してない』 記者過労死、遺族が指摘」(朝日新聞)、「NHK記者過労死 『非公表要望は事実でない』と反論 『事実誤認がある』と両親が会見」(産経新聞)、といった見出しが目に入る。

NHK「『公表は望んでいない』と聞いていました」

   一方、NHKは13日夕方のニュースで、「再発防止」を訴える両親の発言を紹介し、NHKは「ご両親には過労死を防げなかったことを心からお詫び申し上げます。ご両親の思いを真摯に受け止め働き方改革に不断の取り組みを行ってまいります」とのコメントを出したと伝えた。

   同内容の記事は同日、NHKウェブ版でも「過労死認定 NHK記者の両親が会見 再発防止求める」との見出しで報道された。だがいずれも、「公表」や「謝罪」をめぐる両親の訴えには触れなかった。

   J-CASTニュースはNHK広報局に対し16日、両親の会見を踏まえて本当に両親から公表を望まないとの説明があったのか、ファクスで質問したところ、以下の回答だった。

「代理人からは当初から、『公表は望んでいない』と聞いていました。ご両親の言葉は重く受け止めています」

   また、謝罪についても認識が異なっている点については

「労災認定後に、当時の首都圏放送センターの責任者がご両親に謝罪しました」

と、14年の労災認定後に謝罪をしたと答え、「先月、ご両親をお招きして働き方に関する研修会を開催した際に、放送総局長らが謝罪しました。今月、会長が両親宅ご両親にお会いして謝罪し、今後の働き方改革についての決意をお伝えしました。ご両親の言葉は重く受け止めています」と続けた。

   「再発防止策」については2014年6月に報道局長を長としたプロジェクトを立ち上げ、「連続休暇やノー残業デー、勤労休暇の取得回数等を数値目標として示し、業務の効率化を進めるなどして長時間労働の改善や健康で働きやすい職場づくりの取り組みを行っています。また、午後10時(22時)以降の深夜に働くときには上司への連絡を徹底し勤務を管理するほか、各職場に担当管理職を置いて休暇を取得しやすい環境づくりも進めています」と説明した。

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