2024年 5月 3日 (金)

ソフトバンクの思惑通りに進むのか 米携帯スプリントが統合詰めの協議

トランプ政権は、規制緩和に前向きだが...

   ただ、ここに至る経過は孫氏のシナリオ通りではなかった。ソフトバンクグループは2013年にスプリントを約2兆円で買収し、当時からTモバイルを買収することが視野に入っていて、実際にその方向でかなり検討が進んだ。

   しかし、オバマ政権時代の米連邦通信委員会(FCC)は、市場がベライゾン、AT&Tとの3社による寡占状態になれば消費者の選択肢が限定され、価格面などでサービスが低下するとして反対し、頓挫した経緯がある。この時の順位は、スプリントが3位、Tモバイルが4位だったが、その後のスプリントの業績不振もあって逆転された。直近の株式時価総額は、Tモバイル約500億ドル(約5兆7000億円)、スプリントは約280億ドル(約3兆1500億円)と水をあけられている。ソフトバンクとドイツテレコムは統合新会社への出資比率など詰めの協議を行っているが、ソフトバンクグループが主導権を握るのは難しいとみられ、ソフトバンクグループのIoT戦略の中で、統合新会社をどこまで勝手よく使えるかは疑問符も付くところだ。

   統合自体も、実現する保証はない。トランプ政権は、規制緩和に前向きで、今回の統合検討も、政権交代が前提。とはいえ、統合交渉がまとまっても、米司法省当局が反トラスト法(独占禁止法)に基づいて審査することになり、競争が妨げられる恐れがあると判断して統合を認めない可能性もある。

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