2024年 4月 17日 (水)

神戸製鋼めぐるマスコミの姿勢 「安全確認」よりも「新たな不正」?

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   神戸製鋼所は2017年10月26日、不正があったアルミ・銅製品、鉄鋼製品などを納入した525社のうち、8割超の437社の製品で「安全性を確認した」と発表した。これにはトヨタ自動車の乗用車、JR東海の新幹線車両などが含まれる。

   消費者にとっては、最終製品の安全性にかかわる重要な情報だ。ところが新聞・テレビなど大手マスコミは、神戸製鋼で新たに4件の検査データ改ざんなどの不正が見つかったほか、問題となった銅製品で日本工業規格(JIS)の認証が取り消しとなったことなどを大々的に伝えた。マスコミは「安全確認」よりも「新たな不正」を求め、センセーショナリズムに流されてはいまいか。

  • 8割の製品について安全性が確認されたが…(画像は神戸製鋼所の公式ホームページより)
    8割の製品について安全性が確認されたが…(画像は神戸製鋼所の公式ホームページより)
  • 8割の製品について安全性が確認されたが…(画像は神戸製鋼所の公式ホームページより)

経済産業省のテコ入れ

   神戸製鋼の発表翌日の10月27日付の朝刊各紙は、日本経済新聞が3面で「神鋼、JIS認証取り消し 10年で3度目 不正新たに4件」と大きく報道。肝心の製品の安全性調査については、13面で「神鋼社長『8割で安全』」と小さく報じただけだった。朝日、毎日、読売の全国各紙も「不正新たに4件」や「JIS取り消し」を1面や2面で大きく扱い、安全性について「出荷先8割で安全確認」(朝日2面)など、見出しに取ったのは少数派だった。

   もちろん今回、神戸製鋼の製品の安全性が100%立証されたわけではない。しかし、当初、「年内か年度内いっぱいはかかる」と説明していた神戸製鋼の調査が、経済産業省のテコ入れもあって急がれ、8割の企業で「安全」が確認された意義は大きい。経産省から10月12日に「2週間を目処に安全性について確認し、発表するように」と指示を受けた神戸製鋼は、やっと重い腰を上げた格好だ。

年内にはすべての調査が完了か

   調査結果は3段階に別れる。A=納入先が安全性を確認したもの、B=納入先が「当面の問題はない」と判断したが、さらなる検証を進めるもの、C=神戸製鋼が技術的見解から高い確度をもって安全性が確認できると判断し、納入先に連絡したもの――の三つに区分される。納入先525社のうち、Aが最も多い229社で、Bが91社、Cが117社だった。残るのは海外を含む88社という。この調子で行けば、恐らく年内にはすべての調査が完了し、「安全宣言」が可能となる。

   一連の神戸製鋼の不正とは、突き詰めれば、最終製品の自動車や航空機などの利用者が重大な危険にさらされるか否かで、大きく問題意識が分かれることになる。エアバッグのタカタと神戸製鋼が異なるのは、神戸製鋼の不正では、けが人や死者などが一人も出ていないことだ。ここは冷静に判断する必要がある。残る2割の製品の安全性さえ確認されれば、センセーショナルな連日のマスコミ報道もしだいに沈静化していきそうだ。

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