2018年 7月 17日 (火)

赤ちゃんの「黄昏泣き」にカテーテル? ツイッター上で話題も専門家から疑問次々

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   健康そうな赤ちゃんが頻繁に長時間、激しく泣くことを「乳児疝痛(コリック)」という。この乳児疝痛の原因が腸に溜まったガスであり、イタリアではガス抜きのためにカテーテルを使うのになぜ日本にはないのかとツイッター上で、あるユーザーが投稿したことが物議を醸している。

   当初はこの投稿に感心する声も見られたが、産婦人科医や小児科医からカテーテルを使用することの危険性や、そもそも乳児疝痛の原因をガスに限定することへの疑問の声が次々に挙がっているのだ。

  • 「海外では常識」話には要注意を
    「海外では常識」話には要注意を

原因がガスかは不明なのに

   そもそも乳児疝痛とはなんなのか。米国家庭医学会(AAFP)が公開しているファクトシート「Infantile Colic: Recognition and Treatment(乳児疝痛の認識と治療)」では、

「4~6週目の新生児が1週間に3時間以上、もしくは3週間以上、毎日3時間、泣いている状態」

としており、しばしば午後から夕方にかけて起きると説明されている。この発生時間帯から日本では俗に「夜泣き」と区別して「黄昏泣き」と呼び、子育て情報サイトなどでも黄昏泣きとして乳児疝痛を取り上げていることが多いようだ。

   あまりにも激しい泣き方の場合、不安に思う保護者もいるようだが、AAFPは「6か月程度で収まることが多く、1歳まで続くことはない」と解説。

「両親に不満や不安、うつを招く恐れはあるが乳児には長期的な問題は何もない」

と乳児疝痛自体に問題がないことを強調している。

   では、乳児疝痛が起きる原因は何なのか。ツイッターでカテーテル利用を推奨したユーザーはお腹に溜まったガスが原因であると主張していたが、本当だろうか。

   例えば前述のAAFPは「大腸での過度のガス産生は乳児に不快感や違和感を与える可能性がある」としているものの、乳児疝痛で泣いている乳児をスキャンした画像では胃腸の輪郭は正常で、ガスが乳児疝痛の原因とは思われないと否定的な立場だ。

   英国民保健サービス(NHS)は消化不良や腸内のガス、母乳やミルクに含まれる特定のたんぱく質や糖に対する腸の感受性の違いなど諸説考えられるが原因は不明、と説明。肝心のイタリア国民保健サービス(SSN)の乳児疝痛の見解もNHSと同様だ。

   ツイッターでも、産婦人科医や小児科医と思われるアカウントからは原因をガスに限定できないとする声が挙がっており、あるアカウントは

「そもそもコリックの原因が明らかであるのは5%以下とも言われていて医学的には問題がないものを指すことが多い」

と投稿。赤ちゃんが泣く要因は複数考えられるので、素人に乳児疝痛か否かの判断は難しく、医療機関を受診してほしいとすすめる投稿も見られた。

カテーテルを使うことも推奨されていない

   乳児疝痛の原因以上に専門家から指摘が相次いだのが、ガスを抜くためにカテーテルを使うという点だ。カテーテルとは医療用のチューブのことで、体液の排出や薬剤などの注入、気道の確保などに用いられる。

   血管や尿管、消化管、お腹や胸に穴を空けて通すなど使用する部位もさまざまで、腸内のガスを抜くために直腸などにカテーテルを通すことがあるかもしれないが、医師らからは「素人が乳児にカテーテルを使うと腸を傷つけたり、最悪の場合カテーテルが刺さり穴を空けてしまう恐れがある」との指摘が相次いだ。

「カテーテルを使わなければいけないほどガスがたまっているなら、そもそも別の病気の可能性がある」

という意見も見られた。

   前述のAAFPやNHS、SSNのウェブサイトでもカテーテルを使うよう推奨する記述はない。共通して見られるのは、腹部をやさしくマッサージする、泣いている赤ちゃんの側に寄り添ったり抱く、の2点だ。

   ツイッター上では一般ユーザーと思われるアカウントから、赤ちゃんのガス抜きや便秘解消に小児科で「綿棒浣腸」を教えてもらったという投稿がいくつかあった。乳児疝痛との関係は不明だが、興味を持った人は小児科医に相談すべきだろう。

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