株式市場は「日の出」の勢い? 注目の「SUNRISE」銘柄

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   ついに「失われた20年」を克服できるのか――。株式市場がこんなテーマでにぎわっている。2017年11月7日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日比389円25銭高の2万2937円60銭と大幅続伸。1996年6月につけたバブル崩壊後の終値の「戻り高値(2万2666円80銭)」を軽々と超え、1992年1月以来約26年ぶりの高水準となった。

   戻り高値をつけた1996年と言えば「自社さ」の枠組みで橋本龍太郎内閣が政権を担った時代。翌97年には消費増税などによる景気の落ち込みや山一証券自主廃業などによる金融危機があり、デフレの長いトンネルに入ってしまう。今回の株価上昇はその「デフレ前」に戻ることを意味するのか......日本経済史の点からも興味深い。

  • 「SUNRISE」銘柄に注目が集まる(画像はイメージ)
    「SUNRISE」銘柄に注目が集まる(画像はイメージ)

「ソニー・サプライズ」で好影響

   前日に東京で米トランプ大統領と安倍晋三首相による日米首脳会談があり、対北朝鮮対策で協調を確認し、大きな波乱はなかった。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)の次期議長に11月2日、穏健派のパウエル氏が選ばれるなど足元で好材料も多いだけに投資家の買い意欲は旺盛だ。

   それではその買い意欲の主はだれなのか。おそらく外国人投資家だ。

   東証が11月2日に発表した東京・名古屋2市場の10月第4週(23~27日)の投資家別株式売買状況によると、外国人投資家は5週連続で買い越した。買越額は6703億円。週間の買い越し額としては今年最大だ。一方、高値警戒感から利益確定を急いでいるとされる個人投資家は7週連続で売り越した。売越額は5951億円。このデータは10月27日までのことだが、10月29日から始まる週においても、好業績を競うかのような中間決算の発表が相次いでおり、これを受けて商いをともなって株価が上昇。いわゆる「業績相場」に入っており、これは外国人投資家の買いが支えたとみられている。

   象徴的な銘柄がソニーだ。10月31日の取引終了後に中間決算と通期見通しを発表し、2018年3月期の連結営業利益を従来予想比1300億円高い前期比2.2倍の6300億円に上方修正した。実現すれば20年ぶりに営業利益が過去最高を更新する。純利益も3800億円と10年ぶりに過去最高を更新する水準に上方修正した。スマートフォン向け画像センサーが好調な半導体部門が想定を上回るほか、音楽やゲームといった基幹をなす事業も堅調なためで、11月1日にソニーの株価は前日終値から11%上昇して取引を終えた。外国人投資家にとってソニーは知名度が高くわかりやすい日本株の代表選手だ。この「ソニー・サプライズ」は東証全体に好影響をあたえ、日経平均株価が408円高で取引終了となる大商いをもたらした。かつてITバブル崩壊の序曲となった「ソニー・ショック」と正反対の反応である。

1996年の「戻り高値」を超えた後

   ソニーの営業利益が過去最高を更新した20年前の少し前は、どんな状況だったか。1995年4月に一時、1ドル=79円台に突入したが、これをピークに円高は徐々に修正された。95年秋には大型の経済対策も組まれ、日経平均も96年半ばにかけて上昇気流に乗った。日本のGDP(国内総生産)や日本の生産年齢人口がピークをつけた時期でもあり、バブル期に米国をおびやかした日本の企業群がなお輝いていた時代でもある。ただ、金融機関の不良債権問題にほとんど手がつけられておらず、バブルの負の遺産処理をもはや先送りできない局面でもあった。97年以降、金融危機が深刻化し、デフレ経済に入っていった。

   兜町かいわいでは最近、再成長への期待度が高い銘柄であるソニー、任天堂、リクルート、ソフトバンクがその頭文字をもじって「SUNRISE」(サンライズ=日の出)とはやされている。高値警戒感は根強いものの、実体経済の先行指標とされる株式市場が21年前の戻り高値を超えた後もさらに上値を追うのか、一つの節目を迎えていると言えそうだ。

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