2018年 5月 26日 (土)

ボールが胸に当たった衝撃で昏倒 命の危険もある「心臓振とう」の怖さ

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   子どもや若者は、胸部に外部からの激しい衝撃が加わると心臓に異常をきたしやすい。心室細動という極めて危険な不整脈を起こし、最悪の場合は死に至る。

   運動中のハプニングで、胸を強く打ちつけることがある。野球やサッカーのボールが当たったり、格闘技で打撃技を受けたりといったケースだ。

  • ボールの当たり所に注意
    ボールの当たり所に注意

ボールをトラップした後フラフラと倒れた

   大学ラグビーで悲劇が起きた。2017年11月5日、京都教育大3年の学生が試合中、相手選手にタックルにいった際にその選手のひざがあごから首のあたりに当たった。学生は倒れて意識不明となり、救急搬送されたが亡くなった。複数の報道によると、「心臓振とう」(心臓震盪とも)のためという。

   日本心臓財団のウェブサイトで、慶応義塾大名誉教授の医師、川田志明氏が心臓振とうについて解説している。心臓は前胸壁に接している。若年者は胸壁が柔らかく、心臓に近い胸壁に衝撃が加わると、発生しやすい。心室細動になると、心臓の筋肉が全体として収縮せず各部バラバラにけいれんして、ポンプとして血液を送り出せない。このため、心停止と同じ状態になる。

   心臓振とうは、例えば「小学生同士のキャッチボール程度でも起こり、もともと心臓病もない元気な子供にも起こります」と、日本救急医学会のサイトに書かれている。

   J-CASTヘルスケア編集部では、ひとりの男性記者が高校生の頃にサッカーの試合中、心臓振とうで倒れた上級生を目撃していた。この男子生徒は、シュート気味のやや強いロングボールを胸でトラップした後「フラフラして倒れた」。試合に立ち会っていた企業クラブ所属のトレーナーがこの様子を見た瞬間に「心臓振とうだ」と判断、適切な応急処置をしたうえで救急隊員に引き渡し、生徒は病院に搬送された。幸い大事には至らず、退院後は無事に復学した。

   サッカージャーナリストで「フットボールレフェリージャーナル」を運営する石井紘人氏に取材した。日本サッカー協会(JFA)の「C級コーチ」ライセンスを持ち、これまで小、中学校の生徒を指導した経験がある。例えば、相手のフリーキックで味方ゴール前に「壁」として並んだ場合は、「胸と股間を保護するために手を置き、あごを引く」よう子どもたちに徹底する。体の中でも胸は、守るべき重要部位というのが分かる。

万一の場合はAED使用を急げ

   心臓振とうを防ぐ対策としては、防具の使用がある。野球・ソフトボールの場合は製品安全協会が2007年に「胸部保護パッド」の安全性品質基準をつくり、それにのっとった商品が販売されている。空手やボクシングといった打撃技が多い格闘技用にも、胸部を守るための子ども向けプロテクターがある。

   万一、胸を打った子どもが急に倒れるなど異常が見られたら、自動体外式除細動器(AED)の使用を急ぎたい。前出の石井氏も、過去に研修でAEDの使い方を学んだと話した。JFAのサイトには、2015年にフットサルの試合で、相手がシュートしたボールが胸に当たり、心臓振とうを起こした選手が、AEDによる救命措置で一命を取り留めた事例が紹介されている。

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