2018年 12月 16日 (日)

米国でサマータイム廃止議論 健康への害や交通事故増加を指摘する声も

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   サマータイムの本場とも言える米国の一部の州で、サマータイム廃止を検討する動きが進んでいると、複数の米国メディアが報じている。

   夏を中心に時計を1時間すすめることで明るい時間を効率的に使い、夜を休息と余暇に当てることが主な目的だが、近年サマータイムによる脳卒中や心臓発作などの発症リスク増加を示唆する研究が発表されており、各地の州議会などから再検討を求める声が挙がっているというのだ。

  • 時間を1時間進めて効率化、はもう古い?
    時間を1時間進めて効率化、はもう古い?

メイン州議会議員は「人命とコストの無駄」

   サマータイムは米国では「Daylight Saving Time(DST)」と呼ばれる。3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで時計を1時間すすめるというものだ。米国以外にもカナダやEU圏で導入している国があるが、昼の時間を長く確保するという目的の性質上、基本的には夏の日照時間が長い高緯度の国で行っている場合が多い。

   10月25日付の「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、現在の米国におけるDSTは第二次世界大戦中に電力を節約し資源を効率よく使うために導入されたもので、その後、省エネ目的で期間が延長されていったという。

   ただし、DSTを導入するかどうかは各地の議会の判断に委ねられており、例えば緯度の低いハワイ州では導入していないなど、米国でもあらゆる場所で3月から時計が1時間進んでいるわけではない。

   そんな中、マサチューセッツ州とメイン州がDSTを取りやめる方向で、州議会が設置した特別委員会が調査報告を取りまとめていると「ロサンゼルス・タイムズ」紙やCNN、CBSなどが11月に入り相次いで報じているのだ。

   11月1日付の「ロサンゼルス・タイムズ」紙の取材に答えたメイン州議会のドンナ・ベイリー議員は「DSTによって生じる健康への害を示す多くの研究がある」と回答。

「DSTのおかげでメイン州の住民は睡眠時間を1時間失い、交通事故や職場での事故、心臓発作を経験することができています。このような制度で多くの人命と(時間切り替え対応で発生する)数千万ドルのコストを無駄にすべきではありません」

と皮肉を交えてDSTを非難している。

   ところで、本当にサマータイムやDSTがネガティブな結果をもたらすという研究があるのだろうか。調べてみると、2016年にはフィンランドのトゥルク大学の研究者らが10年分のフィンランドの脳卒中症例データを調査し、サマータイム中の脳卒中発症率がそれ以外の期間に比べ25%高くなったと発表。同様の研究結果は他国の研究者からも報告されていた。季節の変わり目の時期に生活サイクルが急変することで、血管や心臓に負荷がかかると指摘するものもあった。

   また、影響は病気に限らない。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州保健局は2013年にサマータイム開始・終了の2週間前後は交通事故件数が16%増加するとの調査結果を発表している。原因は「サマータイムによって睡眠時間が減り、運転中の集中力が低下している」ためだという。

サマータイムの利点を指摘する声もあるが

   DSTにはネガティブな意見だけでなく、肯定的な意見もある。昼間が長くなることで犯罪が抑制される、小売店の利用者が増加し経済活動向上に貢献する、といったものだ。

   ニューハンプシャー州やコネチカット州でもDSTの廃止が検討されたが、上記のような肯定意見に反対され廃止に至らなかったと「ロサンゼルス・タイムズ」紙は伝えている。

   しかし、マサチューセッツ州議会議員のアイリーン・ドナヒュー氏はCBSの取材に対し、

「慎重な調査からDSTを廃止しても犯罪を抑え、経済活動を維持し、省エネルギーも実現できることを確認している。すぐに急激な変化をせよとは求めないが、DSTの有無は議論に値するテーマだ」

とコメント。議会での議論を通してDSTのあり方を問うていく姿勢を見せている。

   数年先には米国でもサマータイムが過去に話になっているのかもしれない。

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