2018年 8月 21日 (火)

読み書きできず、「頭替えたい」と親にぶちまけ... 当事者が語る「学習障害」の真実

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【ウワサの保護者会】(Eテレ)2017年11月11日放送
「理解してほしい!学習障害のこと」

   近年「発達障害」への理解が進み、保育や教育の現場で様々な支援が行われ始めているが、その中の「学習障害」は周りから気付かれにくく、適切な対応ができていないケースが少なくない。

   学習障害の人にはどんな特性があり、どのような支援が望ましいのか。番組では、当事者とその保護者が経験談を明かした。

机の上に手紙「何でそんなにバカなの?」

   発達障害には、注意力や集中力に課題がある「ADHD」、対人関係の不器用さや物事への強いこだわりがみられる「自閉スペクトラム症」、そして、読み書き、計算などに著しい困難を抱える「学習障害」がある。

   ダンスやファッションが好きなジンくん(中3)は、文字の読み書きが苦手だ。ひらがなは何とかできるが、漢字はまだ難しい。少しでも読みやすいよう、文字が大きい教科書を支給されているが...。

ジンくん「読めないです。ふりがなが入っていないとほぼ意味ない」

   学習障害の人は、小学校に入った時に様々なつまずきに直面するケースが多い。ジンくんは教科書の音読が上手くできず、板書を書き写せなかったため、授業について行けなかった。

   当時のテストの答案を見ると、回答欄は埋まっているものの、ほとんど間違っている。ジンくんの母・カバさんも学習障害があり、わからなくても必死に答えるジンくんの辛さが痛いほどわかった。息子の頑張りを認めてあげたいと、0点のテストに後からマルを付けて100点に書き換えていた。

   ジンくんは、他の子と同じようにできない苛立ちをカバさんにぶつけた。

カバさん「『頭替えたい、頭替えたい、もうバカなのは嫌だ』って、すごいもがいていました」

   小学2年のある日、ジンくんの机の上に手紙が置いてあった。何が書いてあるかわからず、先生に教えてもらおうと手紙を持って行った。書かれていたのは「何でそんなにバカなの?」。クラスメートを問いただす先生の様子から内容を察し、心が折れた。

ジンくん「悔しかったというより悲しかった。その手紙があってから勉強やる気なくしちゃって、授業も聞いてなかったし、聞く気もなかったです」

   小学6年の時、学校の先生の勧めで専門医を訪ね、ようやく学習障害と診断された。

ジンくん「ショックも少しはあったけど、『学習障害だから』と『バカだから』は全然違うから、診断で結構助けられた。先生たちもテストで読み聞かせしてくれるようになったし、結構いい点数取れたから、それから勉強楽しいなと思った」

   今は、勉強に遅れがある生徒を手厚くサポートしてくれる公立高校への進学を目指すまでに勉強への意欲を持っているが、合格できるのか、入学できても必要な支援が受けられるのか、不安は尽きない。

文字を書くのが勉強の妨げに

   ピタくん(中3)は、自閉スペクトラム症と学習障害の特性がある。

   学校から帰るとパソコンに向かい、塾に行くまでの間、学校の授業の復習をする。ピタくんにとっては、パソコンがノートと鉛筆の代わりだ。一度勉強し始めると周囲の声が耳に入らないほど集中するが、かつては想像もできなかった姿だ。

   ピタくんの学習障害の特性が目立ち出したのは小学校に入学してから。文字は読めるが書くのが極めて困難で、計算問題は頭の中で答えがわかっても、筆算が書けず答えられない。ピタくんにとって、文字を書くのが勉強の妨げだった。

ピタくん「書いてると考えられなくなっちゃう。長い時間とか、多い量の字を書くと、頭の中でパニックになって思考が停止しちゃう」

   小学5年の時、障害がある子供向けの講座で、タブレット端末のキーボード機能を使えば書きたいことが文字にできるとわかった。

   これで学校でも勉強できると思ったが、他の子からずるいと思われるのでは、と心配した。1年悩んだ末、自分の学習障害についてと、タブレット端末があれば勉強ができるとクラスメートに説明した。先生も同じように困っている子がいたら使っていいと話し、クラスのみんなは理解してくれた。書く苦しみから解放され、勉強がどんどん楽しくなった。

   中学に入ってからは、毎日ノートパソコンを持ち込んで授業を受けている。テストの時は、あらかじめ解答用紙をパソコンに取り込み、キーボードで答えを打つ。試験中は先生が付き添い、不正がないと他の生徒に理解してもらう。テストが終わると、入力した回答をプリントアウトして提出する。

クラスメート「ずるいとかは思わない。特別扱いとは全く感じないです」「ちょっと(パソコンを)使ってるだけで、別にそんなに変わりはないかなって」

   学ぶ手段を得たピタくんは、今のびのびと過ごしている。モチベーションが上がり、進んで手で文字を書くようにもなった。パソコンを使い始めた頃よりも格段に上達しているという。

ピタくん「勉強が前より好きになった。自分を否定的に思ってたけど、そこまで悪くないんじゃないかなって」

尾木ママ「学習障害の子と信頼関係築いて」

   そもそも学習障害はどのように引き起こされているのか。

小児科医の榊原洋一氏「脳内の字を読み解く働きが十分に発達しない状態と考えられている。学習障害のある人は、『魚』という字を見ても、『海で泳いでいる魚だ』とすぐに結び付かない。元々そういった脳の機能がうまく働かない特質を持って生まれてくる。読み書きに大きな困難を抱える人が一定の割合でいると知ってもらいたい」
教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹「例えば自分の子供が『隣の席の男の子が全然ノートが取れない』と言ってきたら、ルビ(ふりがな)を振ると読めるらしいと知っていれば、『教科書にルビを振ってあげたら?』と返す。ルビを振った子の喜びにもなるし、信頼関係も生まれる。そういうところからはいじめも生まれないです」
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