2018年 9月 24日 (月)

検査不正の発覚、次の企業はどこだ 「経団連の会長会社も」がもつ意味

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   2017年10月の神戸製鋼所に始まった素材メーカーの品質検査データの改ざん問題は、三菱マテリアルに続き、現職の経団連会長の出身母体である繊維大手の東レにも波及した。経団連の榊原定征会長(東レ相談役)は11月29日、記者団に「私の出身企業でこのような事態が発生し、経団連会長、東レ相談役として心からお詫びしたい」と陳謝した。

   榊原会長は約1350社の会員企業に法令順守や品質管理に問題がないか自主的な点検を呼びかける考えを表明したが、神鋼、三菱マテ、東レ以外にも不祥事が発覚する可能性は否定できない。

  • 東レでも不正発覚(画像は東レの公式ホームページより)
    東レでも不正発覚(画像は東レの公式ホームページより)

「公表する予定はなかったが...」

   本来、東レは今回の不祥事を公表する予定はなかった。11月28日に緊急記者会見を開いたのは、11月3日にネットで「東レの子会社でデータ書き換えがあったようだ」との書き込みがあったほか、「週刊文春」がデータ改ざんの取材を進めていたため。東レは週刊文春の「文春砲」が放たれる前に、自ら事実関係を明らかにしたというわけだ。東レの日覚昭広社長は記者会見で「公表する予定はなかったが、いろんな形でうわさとして広まる前に正確に説明すべきと考えた」と述べ、事実上、ネットの書き込みや文春の取材が公表に踏み切った理由であることを認めた。

   問題となったのは、自動車用タイヤの補強材などを製造する子会社の「東レハイブリッドコード」で、不正が発覚したのは2016年7月。結果的に1年以上、不正を公表しなかったことになるが、東レにも言い分がある。この子会社はタイヤメーカーに補強材を納入しており、タイヤメーカーが求める強度は「260以上」だったが、実際の測定値は258と、わずかに足りなかった。このため工場の品質保証室長が「規格値からのはずれが僅差で、製品の品質上問題はない」と判断し、データを書き換えて出荷していた。

   東レも「規格内の製品と実質的な差はない」「法令違反にも当たらず、安全性にも問題ない」と説明している。取引先が要求した規格に達しない製品を黙って納入したのは、取引先との契約違反であることは間違いないが、事後報告として取引先に説明し、了解が得られれば通常は公表しないケースだという。

   日覚社長は記者会見で「法令違反やリコール、安全上の問題があった場合は当然公表する。今回は問題がないと考えているし、まずは顧客への説明を優先した。発表については考えていなかった」と述べた。

日本企業の代表

   では、なぜ東レが週刊文春の取材対象となったのか。ネットの書き込みが発端なのか、真相はわからないが、東レが現職の経団連会長の出身企業であることが大きな理由であることは間違いないだろう。

   経団連会長は「日本を代表するモノ作りの製造業」から選ばれるのが慣例で、日本企業の代表でもある。現職の会長会社が不祥事を起こすのは前代未聞で、国内外に日本企業のマイナスイメージを与えることになる。榊原会長は記者団に「経団連会長として企業倫理、法令順守の徹底を呼びかけている最中に、自分の膝元でこの事態が発生したことを本当に重く受け止めており、慙愧に堪えない」と述べた。

   取引先が要求した規格からはずれた製品を出荷していたことが後日わかり、取引先に説明して納得してもらうケースがあることは、三菱マテリアル子会社の三菱アルミニウムでも明らかになった。これをマスコミが「不正隠し」と呼べば、その通りかもしれない。神鋼問題をきっかけに、神経質になった素材メーカーがこれまでの商慣行を改め、取引先への説明だけでなく、マスコミに漏れて変に報道されるのを恐れて、自ら事実を公表するケースは今回の東レに限らず、他の大手企業で起きてもおかしくなさそうだ。

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