2024年 4月 19日 (金)

「お願いです。高く買わないでください」 「獺祭」旭酒造が異例広告、その狙いは?

「まともな価格で獺祭を買ってもらいたい」

   なぜ、消費者に「高く買わないで」と訴える広告を掲載したのか。その理由は、旭酒造の桜井博志会長が同社のメールマガジン「蔵元日記」の中で詳しく解説している。

   広告の掲載日と同じ12月10日のメルマガで桜井会長は、新聞広告の展開は今回が「初」だとした上で、「実は訴えたいことがあった」と切り出した。

   「それは、獺祭を『私たちの希望小売価格で買ってもらいたい』つまり『不当に高く買って欲しくない』という事です」

   その上で、非正規の販売店が獺祭を売る場合、流通にかかる日時が必然的に長期化されるため、流通過程で品質が劣化する恐れもあると説明。客にとって非正規店での購入は、「『品質は悪いわ、値段は高いわ』で良い所は何もない」と切り捨てた。

   桜井会長はさらに、「かなりのお客様が獺祭の希望小売価格をご存じないのです。だから割高でも『こんなものか』と思われて購入されるんです」とも指摘。

   実際、16年12月に虫の混入で回収・返金を行った際には、回収の対象が希望小売価格2480円の商品にも関わらず、非正規販売店では1万円以上の価格で売られていたため、一部の購入客がその分の金額を返金するよう求めるケースもあったという。

   こうした状況から、旭酒造としては消費者のために小売価格を規定したいと考えているが、「再販価格維持禁止法」によって実現はできないという。その上で桜井会長は、旭酒造から販売登録を受けていない非正規の販売店にとって、獺祭は「腹立たしい存在」だろうと推測した上で、

「だからといって、獺祭に愛情も何もなく、ただ儲けの追及のみが目的で獺祭を取り扱いたい酒屋さんに出す気はありません。(略)『お客様に良い状態の獺祭を販売できる能力を持つ酒屋さんだけに販売先を絞る』ということが出来なくなります。お客様の不利益を招くことになります」

と断言。メールマガジンの末尾では、

「本当にお客様にまともな価格で獺祭を買ってもらいたい。品質の劣化した恐れのある獺祭でなく、良い品質の獺祭を飲んでもらいたい。そんな気持ちで本日の新聞広告を出しました」

と改めて訴えていた。

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