混入薬物「メタンジエノン」の危険性 副作用も...薬剤師「使わない方がよい」

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   カヌー競技の鈴木康大選手(32)がライバル選手の飲料に禁止薬物を混入した件で、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)はこの薬物について「メタンジエノン」という成分だと明らかにした。

   筋肉増強剤として使われるようだが、日本では薬として認可されていない。健康被害が懸念され、安易な使用は禁物だ。

  • 無認可の薬はやめた方がよい(写真と本文は関係ありません)
    無認可の薬はやめた方がよい(写真と本文は関係ありません)

肝臓への影響が心配

   日本薬剤師会や日本体育協会が刊行している「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2017年版」には、メタンジエノンが「禁止物質」として明確に記載されている。メタンジエノンは「蛋白(たんぱく)同化薬」に分類され、リストアップされた薬物はほかにも多い。「いわゆる筋肉増強剤として、筋力の強化と筋肉量の増加によって運動能力を向上させ、同時に闘争心を高める目的で使用され、様々な投与方式で大量に使用されるため禁止」と書かれている。

   東京都内の薬剤師が、匿名を条件にJ-CASTニュースの取材に答えた。まずメタンジエノンは、日本では薬として認められていない。一方海外ではサプリメントとして販売されているところがあり、渡航先で購入することは可能だろう。インターネットでは、海外からメタンジエノンを取り寄せて販売する業者が見つかる。錠剤や粉末を服用するタイプや、注射もあると薬剤師は説明した。いずれもこの成分は、筋肉をつくりやすくするのが特徴だ。

   一方で心配なのは副作用。薬剤師は「肝臓への影響」を指摘した。「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」にも、メタンジエノンを含む蛋白同化薬について、肝臓がんなど「致命的な有害作用が発生」と書かれていた。「脂質異常症、HDLコレステロールの低下、血圧上昇など心血管系障害の発症も示唆」ともある。

   薬剤師は、「薬として認められていない以上、使わない方がよい」と警鐘を鳴らした。

近年はパワーリフティングやボディービル選手から検出

   過去のJADAの報告を見ると、メタンジエノン検出による違反競技者がいる。近年では2015年にパワーリフティングの選手が、16年にはボディービルの選手が、いずれも競技成績の失効と4年間の資格停止処分となった。一方、飲料にメタンジエノンを混入されたカヌーの小松正治選手(25)は、17年9月の大会後にドーピング検査で陽性となったが、被害者であることが判明し処分は取り消されることになったと、18年1月9日に日本カヌー連盟が発表した。

   前出の薬剤師によると、メタンジエノンは人間の体の中ではつくられない成分であり、検出されれば「外から入ってきたもの」だとすぐに分かってしまうという。自らが意図的に摂取すれば、ドーピング検査で引っかかるのは明白だ。

   一方で、例えば病気治療を目的で服用した薬が禁止薬物を含んでいるとは知らなかったという「うっかりドーピング」が考えられる。

   実は「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」は当初、うっかりドーピング防止を目的としてつくられ、日本薬剤師会が中心となって反ドーピング活動を続けてきた。五輪をはじめ世界的な大会出場を目指すアスリートにとっては、気軽に服用したサプリに禁止薬物が入っていれば、故意でなくても選手生命に大きく影響する処分を受けかねない。薬物に関する十分な知識を持つ必要がある。

   日本で無認可の成分が入った海外製の薬物では、どのようなものが混じっているか分からない点も不安だ。一般の人でも、「手軽に買える」「筋肉ムキムキになれる」と、知識を持たないままこうした薬物を服用するのは避けた方がよいだろう。

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