貴乃花一門はあわせて「11票」はあると票読みされていたが、結果は「10票」だった。2018年2月2日に行われた日本相撲協会の理事候補選挙のことだ。同一門は貴乃花親方に2票、阿武松親方に8票しか集まらなかった。「貴の乱」では増票だったのが定員10人の理事に11人が立候補し、親方全101人が投票する理事選は、貴乃花親方が落選した。理事選は一門ごとの親方の人数をベースに大方の票読みがなされる。貴乃花一門は8人プラス、時津風部屋から離脱して事実上合流したとみられていた3人の、あわせて11人の票を確保していたとの見方が強かった。当確ラインは9~10票。同一門では阿武松親方を確実に当選させるため10票をつぎ込み、貴乃花親方は自身の1票だけで出ることで一致しているとの見方が出ていた。貴乃花親方が1月30日夜の一門会後、報道陣の前で笑顔を見せるなど、結束力の強さもうかがわせていた。また「隠れ貴乃花派」からの票が上積みされるのではないかとの予想もあった。ところが蓋を開けると、結果は貴乃花親方に2票、阿武松親方に8票。合計10票しか入らなかった。少なくとも1票が両親方以外に行ったことになる。この結果にツイッターでは「貴乃花一門11票の票読みも10票。一門の票が外に流れたと考えるわな」「貴乃花一門って11人の親方居なかったか?貴乃花と阿武松の表の合計が10票なんだが...」「"貴乃花一門の結束が保てていない"ことの方が問題。阿武松『8』と"貴乃花のお膝元から二人も造反が出ている"ことの方に危険を感じないとヤバイ」といった憶測が飛び交っている。貴乃花親方は2010年に二所ノ関一門を離脱して理事選に立候補した「貴の乱」で、事前予想7票に対して10票を獲得し初当選した。東京相撲記者クラブ会友の銅谷志朗氏は2日夕の「newsevery.」(日本テレビ系)で、当時と違って今回は票を伸ばせなかった理由について、「(元日馬富士による貴ノ岩への)暴行事件がありました。あの時の対応の仕方を批判する親方が、ずいぶんいたのではないでしょうか」と指摘した。「惨敗です。1票減ったんですから」また銅谷氏は、親方の「落選覚悟で選挙に持ち込む」という狙いこそ達成したものの、「貴乃花一門の力を誇示するには『何票上積みして落選するか』の勝負だと思いました。その意味では惨敗です。1票減ったんですから」と分析した。貴乃花親方は理事選直前、2本立て続けにブログを更新し、相撲協会の未来などについて思いの丈を述べていた。他の立候補者にはない「公約」のようなものとして注目され、これを機に投票する親方もいるのではないかという見方もあった。だが、銅谷氏は「言ってはいけないことですが」と断りながら、「自分の言葉でみんなを説得しないと。文章というのは...本人がお書きになったと思いますけど、中には疑う人もいるでしょう。別の人が作ったのかなと思う人がいるかもしれない」と懐疑的だった。
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