不正で揺れた神鋼、業績は... 一部マスコミ憶測に反し「3期ぶり黒字」へ

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   アルミ・銅製品などで品質データの改ざんが問題となった神戸製鋼所は、2018年3月期の連結決算で3期ぶりの増収と黒字を確保する見通しになった。

   17年10月の不正発覚後、マスコミは「神鋼不正 経営に影響懸念」(朝日17年10月28日朝刊)、「創立100年超の名門は存亡の機に立たされている」(週刊東洋経済17年12月2日号)など、神鋼の経営危機をあおったが、現実はマスコミの憶測とは異なるようだ。

  • 神鋼、不正で揺れるも「3期ぶり黒字」(画像はイメージ)
    神鋼、不正で揺れるも「3期ぶり黒字」(画像はイメージ)

「取引先が求める一定の水準を満たして」いた

   結論を先に言えば、神鋼は品質データ改ざんなど不正があったものの、納入した525社のうち、既に98%に当たる518社が製品の安全性を確認している。この中にはトヨタ自動車はじめ大手自動車メーカーが含まれている。昨17年秋から過熱したマスコミ報道は、神鋼があたかも粗悪品を出荷していたようなイメージを与えたが、肝心の安全性については一定の水準を満たしており、ビジネス上の問題はなかったことになる。トヨタなどの取引先は神鋼から仕入れたアルミ板などに安全性の問題が生じればリコールにつながる可能性もあるため、慎重に調査を進めてきた。

   確かに、神鋼は一部の製品でJIS(日本工業規格)の取り消し処分などを受けたが、取引先に事情を説明して同意が得られれば、「JIS相当品」として現在も出荷を続けている。製品にJISマークを記すことはできないが、「いずれも取引先が求める一定の水準を満たしており、安全性には問題ない」(関係者)との判断があるのだ。

   神鋼のアルミや銅を仕入れて加工する部品メーカーなどは、神鋼製品に合わせた専用の金型を保有しており、神鋼との取引を簡単には変更できない事情もあるという。神鋼のライバルメーカーも好況下で生産に余力がなく、マスコミが懸念した「神鋼の顧客離れ」は現実に起きなかった。従って、神鋼の経営危機や業界再編など、少なくとも現時点では起きそうにない。

外部調査委員会の最終報告書へ関心移る

   もちろん、今後の神鋼の経営にリスクがないわけではない。神鋼は2018年2月末をめどに弁護士ら第三者の外部調査委員会が全容解明の最終報告書をまとめることになっている。その中で新たな不正などが見つかる可能性は否定できない。さらに神鋼は米司法当局から検査データの不正で調査を受けており、その進展次第では制裁金などを課される可能性がある。カナダでは自動車ユーザーから損害賠償を求める訴訟を起こされるなど、海外で訴訟リスクを抱える。神鋼は「訴訟は数年かかるケースもあり、影響があるとすれば来期以降になる」(河原一明・常務執行役員)と説明している。楽観はまだ許されない。

   神鋼が2月1日発表した18年3月期の業績予想は売上高が前期比11.4%増の1兆8900億円と3期ぶりの増収、最終利益も450億円と、3期ぶりに黒字を確保するという。品質データ改ざん問題の影響で、取引先への補償費用などで100億円の経常損益の悪化を見込んだが、これを含め、経常損益は前期の191億円の赤字から600億円の黒字になる見通しだ。補償費用は取引先企業が行った安全性の検査や一部部品の交換にかかる費用という。いずれも「決算に与える(不正の)影響は軽微だった」(河原常務)という。神鋼が今期、黒字見通しとなり、マスコミの関心は神鋼が2月末にも発表する外部調査委員会の最終報告書に移る。

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