「蔡英文総統」宛名消えたのはやはり中国からの「圧力」? 官房長官「台湾国民」と口走り即訂正

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   台湾東部を襲った地震をめぐり安倍晋三首相が出したお見舞いメッセージの「蔡英文総統閣下」という宛名がウェブサイトから削除され、台湾メディアから「中国の圧力なのでは」などと指摘されていた問題で、菅義偉官房長官が2018年2月13日午後の記者会見で、こうした事実を否定した。

   菅氏によると、「総統」の宛名を削ったのは「広く台湾の方々全般へのメッセージとして掲載することが適当と判断した」から。だが、過去に「総統」宛にメッセージを出した際は、掲載後に肩書が削られることはなかった。菅氏は会見で「一つの中国」の原則に抵触しかねない「台湾国民」という言葉を口走って後に訂正する一幕もあり、今回の対応のちぐはぐさが際立つ形になっている。

  • 記者会見で台湾へのお見舞いメッセージについて答弁する菅義偉官房長官。「(誤)台湾国民 (正)台湾の方々」という訂正のテロップが入った
    記者会見で台湾へのお見舞いメッセージについて答弁する菅義偉官房長官。「(誤)台湾国民 (正)台湾の方々」という訂正のテロップが入った
  • 首相官邸ウェブサイトに載っていたお見舞いメッセージ。「蔡英文総統閣下」の宛名は後に消えることになる
    首相官邸ウェブサイトに載っていたお見舞いメッセージ。「蔡英文総統閣下」の宛名は後に消えることになる

「災害救助を大義名分に『ひとつの中国、ひとつの台湾』を作ろうとする日本の試み」

   この問題は、2018年2月8日午前時点で

「台湾東部で発生した地震を受けた安倍内閣総理大臣による蔡英文総統宛てお見舞いメッセージ」

として首相官邸のウェブサイトに掲載されていたメッセージのタイトルが、数時間後には

「台湾東部で発生した地震を受けた安倍内閣総理大臣によるお見舞いメッセージ」

に変更になり、本文の冒頭にあった「蔡英文総統閣下」の宛名もなくなった、というもの。台湾メディアからは「中国の圧力」を疑う声が出ていた。

   実際、中国側の動きは素早かった。中国外務省の耿爽副報道局長は2月9日の記者会見で、安倍首相のメッセージで「台湾の政治家に対して『公式』の肩書を使った」とする、「総統」の表現を問題視する内容の質問に対して、日本側に「厳正な申し入れ」をしたことを明らかにした。事実上の抗議だ。

「災害救助を大義名分に『一つの中国、一つの台湾』を作ろうとする日本の試みは、『ひとつの中国』の原則に反しており、日本が台湾関連問題で約束したことにも違反していることを強調したい。中国はこれに強い不満を示し、日本側に厳正に申し入れた。日本側には、日中間の4つの政治文書(日中共同声明など)の原則を誠実に守り、日中関係に新たな障害が生じないように、誤りをすぐに正すように求めたい」

「広く台湾の方々全般へのメッセージとして掲載することが適当と判断」??

   だが、菅氏は2月13日午後の会見で、「総統」の宛名が削除された件と中国からの抗議との関連を否定。「一つの中国」の原則は変わらないことを強調した。

「中国外交部から申し入れがあったことは事実だが、広く台湾の方々全般へのメッセージとして掲載することが適当と判断したということ。中国からの抗議を受けて修正したという事実ではない」
「日本の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明のとおり、日本としては『一つの中国、一つの台湾』という立場を取っておらず、今回のメッセージ発出が日中共同声明との関係で問題になることはないと思う」

   06年2月に台湾南部の高雄(カオシュン)で地震が起きた際は、日本政府から「台湾の地震に関する安倍総理大臣発馬英九総統宛て、岸田外務大臣発林外交部長宛てお見舞いメッセージ」が出されている。このメッセージからは今でも「総統」の文言が削除されていない。当時は中国側が強く反発しなかったためだとみられ、今回の対応との整合性が問われそうだ。

   菅氏は会見の場で、

「より広く台湾の皆さんに、『台湾国民』の皆さんへのメッセージとして掲載することが適当だという判断をして変更した」

とも発言。「国民」という表現は、自らが否定した「一つの中国、一つ台湾」を示唆したともとられかねない。発言は訂正されないまま会見は終了し、動画に「(誤)台湾国民(正)台湾の方々」というテロップを入れて公開するという形で訂正された。

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