2024年 4月 16日 (火)

羽生結弦は「心理戦」でも勝利? 「荒川静香の作戦」との共通点

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「計算できていたんです」

   こうした試合一連の流れを、佐野稔氏は06年トリノ五輪の荒川静香氏と比較している。

「荒川さんの作戦というのは、3回転-3回転のコンビネーションを思いっきり練習で見せていた。やっちゃおうかなという雰囲気を見せ、3回転-3回転-3回転もやっていました。周りの選手にあれをやらないと勝てないと思わせ、巻き込んじゃった。それで荒川さんが本番でやったのは、3回転-2回転です」

   当時、優勝候補のイリーナ・スルツカヤ選手(ロシア)らが次々に演技を失敗。一方で荒川氏は「完璧なノーミス演技」(佐野氏)で金メダルをもぎ取った。

   小塚氏が言うように、羽生選手は出来栄え点(GOE。技の完成度に応じて-3~+3の加減点がつく)が高いのも特徴。平昌五輪のフリーで、4回転ジャンプに2点台後半(2.50点以上)のGOEがついたのは羽生選手のみで、4回転トウループに3.0点、4回転サルコウに3.0点、4回転サルコウ-3回転トウループに2.71点が加えられている。

   GOEがつく要因について小塚氏は、たとえばショートの4回転サルコウで、跳ぶ前後にスプレッドイーグル(両足を180度に広げ爪先を開いて滑る技)を入れた点をあげる。

「スプレッドイーグルだけなら(ほかの選手も)できますが、その間漕げないので、ジャンプの前にやるとスピードが落ちます。スピードがないとできません」

   ショートの4回転サルコウは基礎点「10.5点」+GOE「2.71点」で13.21点。フリーの同ジャンプはGOE「3.0点」で13.50点だ。3ランク上の4回転ルッツの基礎点「13.6点」と遜色ないことから、佐野氏は「そこまでサルコウを持ちあげてしまった。それが羽生君の武器なんです」と話す。

   羽生選手は試合後の会見で、前回ソチ五輪は「無我夢中で頑張っていた」とする一方、平昌五輪は「本当に大事に大事に結果を取りにいった」と語った。佐野氏は「ソチは気付いたら手の中にあった金。平昌は自分の手でつかみに行った金」と対比し、「欲を出さず、4回転は(ループ抜きで)サルコウとトウループだけの勝負。ソチと変わらないんですよ。跳んだ回数は多いですが。そこをやらないと勝てなかった。計算できていたんです」と分析していた。

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