2018年 12月 12日 (水)

「危機管理学部」擁する日本大学は、なぜ危機管理に失敗したのか プロ指摘する「過ち」の理由

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   日本大学アメリカンフットボール部の「危険タックル」問題をめぐり、後手に回り続けている日大の対応を疑問視する声が多い。

   なぜ、日大はそんな対応に終始してしまうのか。リスクマネジメントの専門家に取材すると、日大が「世論」を置き去りにしている実態が垣間見えた。

  • 反則タックルの場面(提供:関西学院大学)
    反則タックルの場面(提供:関西学院大学)

「堂々と公に発信するべきだ」

   まず事の経緯を簡単に振り返ろう。6日の日大と関西学院大学の定期戦で、日大の守備選手が関学の選手に背後からタックルし、全治3週間のけがを負わせた。

   関学大は12日の会見で、日大に反則行為への見解やタックルを受けた選手、保護者への謝罪を求める抗議文を送付したと発表。15日に回答文書を受け取った。

   だが、関学アメフト部の小野宏ディレクターは17日の会見で「回答書には、本件に関する具体的な事実・経緯など、チームとしての見解が示されていない」などと指摘。「当該選手がなぜああいうプレーしたか、真相究明が必ずなされるべきであり、我々もきちんと納得できるまで解決しません」と、糾弾した。

   こうした日大の対応は「危機管理としては『まずかった』と言えます」――。リスクマネジメント論を研究する関西大学社会安全学部の亀井克之教授は、18日のJ-CASTニュースの取材にそう指摘した。

「普通はありえないプレーで相手チームの選手を負傷させたわけですから、しっかりと先方の心情を慮らなければなりませんが、今のところ誠意を感じるものではありません」

   一体、どういうことか。具体的な理由としては、責任者の日大・内田正人監督が一向に情報発信をしていない点を挙げる。

   内田監督が当該選手にタックルを指示したのかどうかをめぐり、各メディアではさまざまな証言が飛び出している。だが本人は一切、何も語らないまま。関学は既に2度、記者会見で説明している一方、日大は1度も会見を開いていないのだ。

「抗議文に対する回答書に加え、記者会見を開いて、説明するべきでしょう。このような経緯で反則行為が起きてしまいましたなどと、堂々と公に発信するべきです。そうしないから、雲隠れしているとか、何か後ろめたいことがあるのでないかとか、解釈されてしまうのです」

   日大は関学への回答書で「指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質」と説明していたが、亀井氏はここにも問題点があると指摘。「監督がこのような指導をし、選手がこのように受け取った。だからこのような『乖離』が生まれた、と具体的な説明をしなければなりません」と持論を述べた。

「世論の法廷」を無視したツケ

   一方、企業のリスクマネジメントに詳しいフライシュマン・ヒラード・ジャパンの田中愼一社長は、18日のJ-CASTニュースの取材に「基本的に対応が遅いです。本来なら関学が記者会見をする前に、日大が会見をするべきでしょう」と指摘。企業をはじめ組織のクライシスに対処する上では、2つの「法廷」が存在すると説明した。

   まず、1つは裁判所の「法廷」だ。今回のタックル騒動では加害者と被害者が明確に存在するとして、「日大は損害賠償も頭に入れながら、抗議文への回答書を用意しなければならなかった」と述べた。

   そして、もう1つが世論の「法廷」――今回の騒動では、これがカギを握っているという。なぜなら、日大の選手が関学の選手に危険なタックルをする場面が映像でハッキリと残っているからだ。

「誰もが映像を見て、あのタックルはおかしいと認識している。日大はそんな『世論』のことも頭に入れた上で、対応を考えなければいけません。ですが、あの回答書を読む限り、とてもそうは見えません」

   田中氏はさらに「日大側には、世論でこれだけ騒がれるという認識がありませんでした」と話した。その上で「これはパワハラやセクハラと同じです。いくら監督が反則行為を指示しなかったと言っても、受け手がそう受け取ってしまえば、意味を成しません」と続け、

「世論の法廷に引きずり出されてしまった限り、責任者が記者会見なりで正々堂々と説明するなどし、世論に発信しなければ、ますます被害が広がっていくだけです」

と推測した。

「被害を受けるのは、タックルを受けた関学の選手だけではありません。両大学の学生、家族、OB、OG...。就職活動中の学生はもっと被害を受けるはず。日大の経営にも影響するかもしれない問題です」

   何が事実なのか、何が分かっているのか。そしてこの先、何をどのように明らかにしていくのか。日大は、そんな問いの1つ1つに答える必要があるようだ。

日大危機管理学部に取材申し込むと

   このように日大のリスクマネジメントに厳しい目が向けられている中、既にある学部はその「被害」を受けている。

   名前は「危機管理学部」――自然災害や大規模事故、テロ、情報流出などに対する危機管理を体系的に研究するため、日大が2016年春、文系では国内で初めて設置した学部だ。危険タックル騒動をめぐる日大の対応を引き合いに、ツイッターなどインターネット上で

「何一つ危機管理出来てないのに一体何を教えるんだ」
「危機管理学部があるのが日大 だけど危機管理対応ができてないのも日大」

との声が上がっているのだ。

   一方、危機管理学部は「私たちに脅威を与える『危機』は社会の多様化・グローバル化とともに増大。時代に求められている危機管理のエキスパートをいち早く養成し、社会に送り出します」とウェブサイトでうたっている。

   大学が「危機管理」できていると、危機管理学部の教授陣は認識しているのか、それとも――。J-CASTニュースでは18日、同学部に取材を申し込んだが、「その件についてはお答えすることができない」との回答が返ってくるのみだった。

   J-CASTニュースの取材に、ある大学関係者は「日大の危機管理学部では、防衛や犯罪、テロなど国家行政に関する研究体制が充実しており、それは素晴らしい。ただ、企業のクライシスコミュニケーションなどにも少し注意を払う必要があるかもしれない」と話している。

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