2018年 11月 19日 (月)

西野監督なぜギャンブル選んだか 「炎上采配」ギリギリの勝算と裏側

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   ロシア・ワールドカップ(W杯)のポーランド戦終盤で、日本代表が1点ビハインドにもかかわらずパス回しによる時間稼ぎをしたことに賛否両論が渦巻く中、元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏は「本当に腹が座っている」と西野朗監督の采配を称賛した。

   日本の作戦は、同時刻に行われたセネガル対コロンビア戦の結果次第で天国か地獄かが決まるという他力本願。ギャンブルともいえるものだった。西野監督はどのような思考をめぐらせていたのか。

  • MF宇佐美貴史(左)とFW武藤嘉紀は今大会初めて先発出場したが、不発に終わった
    MF宇佐美貴史(左)とFW武藤嘉紀は今大会初めて先発出場したが、不発に終わった
  • W杯ポーランド戦の先発メンバー。後半途中で岡崎→大迫、宇佐美→乾、武藤→長谷部に交代した。
    W杯ポーランド戦の先発メンバー。後半途中で岡崎→大迫、宇佐美→乾、武藤→長谷部に交代した。

「裏目に出たら西野監督は一生 批判を浴び続ける事になる」

   2018年6月28日に行われたW杯グループリーグ第3戦・ポーランド戦で、日本の戦いは後半途中から一変。勝つか引き分ければ決勝トーナメントに自力突破できる状況で、0-1と負けていながら、点を取りに行く気配がなくなった。DFラインでパス回しをし、時間稼ぎを始めた。

   同時刻開催のセネガル対コロンビアで、セネガルが0-1とリードされたことが分かったためだ。そのまま両試合が終われば1位はコロンビアで、日本は2位を争うセネガルと勝ち点・得失点差などで並び、イエローカードやレッドカードの数に応じて付く「フェアプレーポイント」(FP)の差で上回れる。ポーランド戦は、これ以上カードをもらわずに負ければいい。そして狙い通りの結果で決勝T進出を果たした。

   「無気力」とインターネット上では批判も相次いだ。その中で声をあげたのが川淵三郎氏だ。ツイッターで29日、まず「残り10分以上ある時点でボール回しを始めた時頭にきた。コロンビアがリードしているとは言えセネガルが一点取ったら終わり。自力で勝ち取れよ!」と憤激。だが続けて、

「しかし監督は日本が一点食らうと全て終わる。ボール回しで時間を空費してコロンビアの勝利を信じた方がトーナメント進出の確率が高いと!名監督誕生!」
「一点差で仮に負けても決勝トーナメントに進出する可能性が高いと判断しての作戦がピタリ的中した。残り五分位ならいざ知らず10分以上ある中で」

と西野監督を称賛した。さらに

「これが裏目に出たら西野監督は一生 批判を浴び続ける事になる。その覚悟を持っての決断は誰にも出来るものではない。西野監督は本当に腹が座っている」

と胸中を推し量った。

武藤、宇佐美らの不発も踏まえて判断か

   セネガルがコロンビアから1点を取って1-1の引き分けとなっていれば、日本は敗退する(勝ち点はセネガル5、日本4、コロンビア4。得失点差でコロンビアに劣る)。

   「他力本願でセネガルの0-1敗北にかける」か、「リスクを取ってポーランドから点を取りに行き、引き分け以上(自力突破)を目指す」か――。西野監督はあの緊迫した試合のさなか、両者を天秤にかけ、前者の方が確実性は高いと踏んで決断したことになる。フィールドの選手たちもそれを忠実に遂行した。

   後者をとれば、前がかりになった日本の隙をポーランドに突かれ、更なる失点を招いていた可能性もある。この場合、やはり得失点差で敗退が決まっていた。柴崎岳は試合後、「先制されてから、追加失点だけは避けるようにと指示があった」と明かしており、失点リスクを下げるのが最重要タスクとなっていたようだ。

   得点力に難があったのも否めない。先発は前の試合から6人も変更。香川真司、乾貴士、大迫勇也ら攻撃の中心が外れ、2戦連続2得点を記録してきた攻撃陣は沈黙した。ツイッターでは、「武藤(嘉紀)、宇佐美(貴史)を筆頭に初スタメン組はやはりどこか浮ついていたというかテンポが違いましたね。そのせいか得点の気配全くなく...」「先発組がポーランドから得点出来る気配がない事やコロンビアが先制した事を総合的に見て監督が決断した」など、ポーランド相手に追いつける期待がもてなかったとの声も漏れた。

「実際賭けに勝った」

   サッカージャーナリストの河治良幸氏はツイッターで29日、「大舞台で他会場の結果に命運を託すなんていうギャンブルは西野監督かカイジ(編注:賭博を題材とした福本伸行さんの漫画の主人公)にしかできない」と冗談を交えつつも、

「正直自分もあのままポーランドとまともにやりあっていたら十中八九、失点か、少なくともイエローはもらっていたと思います。一方でセネガルが追いつく可能性は五分五分か。確率論で言えば西野監督の選択は間違っておらず、実際賭けに勝った」

と理解を示した。ただ「それでも『他力』に委ねた後悔はあるでしょうね」とも加えている。

   サッカーライターで専門紙「エル・ゴラッソ」元編集者の川端暁彦氏も同日ツイッターで「もやもやするのは分かる。俺もしている(笑)」としながら、「しかし、あそこでリスク取って攻めに出て、逆に失点したり、それを止めようとレッドもらう選手出たらこの結果はないわけで。そこを天秤にかけて監督が下した決断が結果として吉と出た」と作戦勝ちに理解。また、

「日本は3試合トータルの結果として、4試合目を勝ち取ったんだ」

と、より広い視点から見ている。

   初戦・コロンビア戦の勝利(2-1)は衝撃的な番狂わせとして世界中を席巻。第2戦・セネガル戦は2度リードされながら食らいつき、引き分け(2-2)に持ち込むスピリットを見せた。だからこそ、ポーランド戦の戦い方を選ぶことができた、という側面がある。

   「内容」を捨てて、決勝T進出という「結果」を取りに行った西野監督。出番のなかった本田圭佑は試合後、「素晴らしい采配だったと思う」としつつ、「僕が監督だったらあの采配はできなかった」と複雑な胸中も明かしていた。

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