2018年 12月 19日 (水)

貿易戦争に勝者はいない 中米双方のGDP下落予想で世界不況の現実味

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   米国が中国に対して貿易戦争を仕掛けた後、中国メディアおよび米国メディアが一貫して注目しているのは、この貿易戦争発動の「張本人」である米国にもたらす影響である。貿易戦争に「勝者なし」とはいうが、中国も含めて、この貿易戦争はどのような衝撃をもたらすのだろうか。

   米国の著名な投資銀行モルガン・スタンレーは、2018年7月11日に発表した中米貿易戦争に関する新しいレポートで、この問題に言及している。

  • 中米貿易戦争、勝者はいるのか
    中米貿易戦争、勝者はいるのか

中国GDPは最悪5%台に

   モルガン・スタンレーのレポートでは、次のように指摘している。

「過日、米国は中国に対して340億ドル相当の製品に25%の制裁関税を課したが、これによって中国の国内総生産(GDP)は0.1ポイント低下する」
「しかし、トランプ米大統領が2000億ドル相当の中国製品に対して10%の関税を追加すれば、中国のGDPに対する『直接的影響』は直ちに0.3ポイントに跳ね上がる」

   もし米国政府がこの貿易戦争の過程で、ハイテク領域の輸出禁止令を打ち出し、半導体、ソフトウェアなど、中国が現在、米国に大きく依頼している製品の対中輸出を禁止すれば、中国に対してさらに大きな損傷を与えるだろう。

   米国の投資銀行から見ると、中米貿易戦争がもし持続的にエスカレートすれば、中国の経済成長に明らかな衝撃をもたらし、最悪のケースでは、中国の2019年のGDPの伸び率は6.5%の計画値から5%台に下落するかも知れないという。

米国GDPは1%台に下落か

   貿易戦争はこれまで全て「両方が負け」ないしは「多方面が負け」に至ってきた。貿易戦争で中国が経済上のリスクと衝撃に直面するとしても、「中国は惨敗する」「米国の勝ちは決まっている」などという、米国の独り勝ちという結論にはならない。

   モルガン・スタンレーのレポートは、この貿易戦争が継続して行けば、米国ないし全世界に与える影響についても明記している。

「この政策が米国のGDPの伸び率に与える直接的な衝撃も、0.3~0.4ポイントになる。これは中国が見舞われる直接的な衝撃より低いとは言えないばかりか、さらに深刻とさえ言える」

   米国の2019年のGDPの伸び率を2.2%として予測していたことを考慮すれば、この0.3~0.4ポイントの影響は米国にとって、マイナスの意味が大きい。さらには、「経済をうまくやる」と言って政権を取ったトランプ大統領と共和党の支持率に衝撃を与えるかもしれない。

   貨物貿易を除いても、中米両国のビジネス利益の多くは切っても切れない関係である。モルガン・スタンレーのレポートではこのような内容もある。

「2017年に米国企業が中国から影響を受けた利益はすでに4000億ドルの巨額に達していて、これは米国の対中輸出額1300億ドルの3倍に及ぶものだった」
「これもまた、米国企業が中国国内での生産、販売を通して獲得した利益が対中輸出よりさらに多いということを反映するものだ」

   米国の主流シンクタンクやエコノミストたちは、中国に対する大規模な貿易戦争の発動は米国自身の利益を損なうと思っている。

   さらに、レポートは、貿易戦争の規模が拡大すると、世界的に4610億ドル相当の貨物貿易がその衝撃を受け、世界の2.5%の貿易に影響し、世界のGDPの0.5%が影響をこうむる。世界的な経済不況に陥る可能性がある。

   こうしたモルガン・スタンレーのレポートが公表されると、中国メディアはすぐに翻訳してそれを転載した。また、7月17日に日本がEUとの経済協定に署名したことも大きく報道した。中国が中米貿易戦争の影響は、中国以外にも深刻な影響を及ぼすことをアピールしたい気持ちを反映している。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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