米国の人気メタルバンド、メタリカが音楽配信サービス「Spotify(スポティファイ)」を使ってそれぞれの都市に合わせた(曲目の)セットリストを組んでいることが明らかになった。米経済情報サイトの「クオーツ」や英音楽メディア「NME.com」などが報じている。インターネット上では肯定的に受け止められた一方、2000年のナップスター訴訟を起こした過去を持つメタリカが、音楽配信サービスを有効利用することに驚きの声もあがっている。セットリストの最適化クオーツによると、スポティファイのCEO(最高経営責任者)のダニエル・エク氏は2018年7月26日(現地時間)に行われた収益発表の中で、メタリカが公演を行う都市のファンが、スポティファイでどの楽曲を聴いているかをチェック。その都市の人気楽曲が入るようにセットリストを組んでいると明かした。エク氏は、「メタリカのようなアーティストがいますが、スポティファイのデータを見るだけで都市ごとにセットリストを変更できます」「私たちはこれまで、多くの情報に基づいた意思決定を行い、自分たちの聴衆を理解できるような場所にいたことはありませんでした」と語っている。また、エク氏は、スポティファイが収集し、共有するリスニングデータについてアーティスト、レーベル側が更にファンについて知ることができる。このことが音楽業界の変革を助けているとも話したという。この件は、ツイッターで話題になり、多くの反応が寄せられている。日本でも、「NME.com」の日本版サイト「NME Japan」が30日、伝えた。ツイッターでは、「メタリカもデータを使ってファンとのエンゲージメントを高めようとしている事実にシビれる」「世界規模のアーティストだと国によって人気曲が違うのはよくあるので効果的だろうな」「素晴らしい。これだけ大御所になってもテクノロジーを利用してオーディエンスファーストの姿勢を貫くメタリカ」など肯定的なコメントが多数あるほか、「ある程度の楽曲数提供してないとできない戦法」との指摘もあった。一方で、「ストリーミングのデータ使って統計的にセトリを決めるアーティストが多くなってそれが当たり前になったら『今日のセトリは大好きな〇〇があって特別だったな』って思えなくなりそうだな」といった否定的な意見も見られる。ナップスターの時は...またツイッターでは、こう指摘するファンもいた。「メタリカ、昔はナップスターを訴えたりしてたのに。今やspotifyを使いこなすおじいちゃん達に」かつてメタリカが起こした訴訟を想起させる人は日本よりも海外で多いようで、クオーツの記事でも、ナップスター訴訟を想起するファンについて触れられている。ナップスターは1999年に発表された音楽ファイル共有ソフトのこと。多数の個人を直接つないで情報を共有する「P2P(ピア・ツー・ピア)」の技術を用いた。しかし、ナップスター上で流通した音楽データの多くは著作権を無視した市販のCDなどからの違法コピーだった。このナップスターを相手に初めてアーティストとして訴訟を起こしたのがメタリカだった。その後、全米レコード産業協会からも訴訟を起こされ、サービスは姿を消した。海外のファンからは、「これは信じられません。メタリカは、当時のナップスターに対して精力を尽くして戦った」と驚くコメントもあった。
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