気象予報士・森田正光が「サマータイム」に反対する理由 日本の夏は「暑すぎる」!

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   気象予報士の森田正光氏が、東京五輪に向けて導入が検討されている「サマータイム」について「うまくいくと思えない」と反対の姿勢を示した。

   すでに導入されて100年経つ欧州と比べ、「夏が暑すぎる」と、気候の違いからその理由を指摘。「酷暑対策」として打ち出されているものの、2時間ずらしたところで「誤差ですよね」とバッサリ切り捨てた。

  • 森田正光氏は日本でのサマータイム導入に異を唱えている(画像は森田氏のツイッター)
    森田正光氏は日本でのサマータイム導入に異を唱えている(画像は森田氏のツイッター)
  • 森田正光氏は日本でのサマータイム導入に異を唱えている(画像は森田氏のツイッター)

「日本にサマータイムは向いていません」

   森田氏は2018年8月15日のラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ)に出演。リスナーからの「東京五輪期間中のサマータイム導入論、気象の観点で是か非か?」という質問に、「僕は非ですね。ほとんど意味がないと思っております」と答えた。

   40年超にわたり気象予報士を続ける中で、石油ショック時など「少なくとも3回はサマータイムの議論がありました」というが、「そもそも論でいうと、日本にサマータイムは向いていません」と、かねてから反対だったようだ。その理由を「欧米とは季節が違う」と話す。

   夏季の長い日照時間を生かそうと時計を一定時間進める「サマータイム」は、第一次大戦中の1916年、英国やドイツで始まり、欧米諸国に伝わった。森田氏は「特に(緯度が高い)北米は昼間が長いので、有効に使おうということで導入したのが始まりです。日本でも戦後、米国から進駐軍が来ました。その時、サマータイムを4年間やったんですね」と、連合国軍総司令部(GHQ)による1948年の導入事例に触れ、

「ところが、みんな寝不足になってダメだとなった、という経過があります」

と紹介した。当時は4年後の1952年に廃止されている。サマータイムは昼間が長いことで生まれる余暇を有効活用するねらいもあるとされるが、生体リズムがずれたり、長時間労働時間につながったりするなどの懸念もついてまわる。寝不足などの健康被害もそのひとつだ。

   森田氏はラジオで、「アジアでは韓国が一度入れたことがあるんですけど、これもダメだということ(で廃止)になりました」とアジアの他国の例を紹介し、

「『季節的に無理だ、欧米とは違う』ということです。夏が暑すぎるんです」

と続けた。

「もう識者の中では結論が出てる」

   五輪組織委員会の森喜朗会長らが時計を2時間進めるサマータイムの導入を求める理由としては、気温が高くない早朝を活用することによる「酷暑対策」が取り沙汰される。つまり「暑すぎるからサマータイムを」という点があるわけだが、森田氏は「2時間やそこらずらしても一緒です」とし、気候の面から次のように話している。

「うちのスタッフが調べてくれたんですが、2時間ずれると(サマータイムの)7時が(標準時の)5時になるということですよね。これ、(気温が)最大1~2度しか違わないんですよ、朝。一方で昼間の時間帯は33~35度などとずっと暑いわけです。結局、朝早い時間を有効活用しようとか、涼しい時間に何かしようと言っても、温度も湿度も変わらない。アジアでは気候的に無理じゃないかということです」

   1~2度という気温差については、

   「ほとんど誤差ですよね。それでは朝早起きした意味がない。日本というかアジアの夏が欧米と違うんですよ。熱帯の夏と同じですから、北米のような感覚では無理です」

と切り捨てた。さらに、

「このことは何回も議論されてきて、もう識者の中では結論が出てるんです。またかと思ってるでしょう、試算した人々は」

と呆れていた。

   欧州ではサマータイム廃止論が持ち上がっている。健康リスクへの懸念や、期待されていた経済効果に疑問が生じたためで、EU(欧州連合)は加盟各国の世論調査をふまえて今後の対応を検討する。こうした動きに森田氏は、「慣れているところでも、だんだんおかしいのではないか、となってきている」と述べていた。

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