2024年 4月 29日 (月)

日銀と市場の神経戦 「長期金利」政策の本音は?

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   日銀が、金利やお金の量を操作する金融政策の修正を決めた。2018年7月30、31日開いた金融政策決定会合で、0%程度に誘導している長期金利を柔軟に調節するとして、市場金利の変動幅を2倍程度に広げ、金利の上昇を事実上、容認するのが最大のポイントだ。

   現行の「長短金利操作」を導入した2016年9月以来、約1年10か月ぶりの政策の修正になる。これは、5年超にわたって続く大規模金融緩和政策の長期化を見込んだ微修正なのか、金融緩和からの「出口」への第一歩なのか、市場や専門家の見方は割れている。

  • 写真は日本銀行本店
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実質的には、金利のある程度の上昇を容認

   今回の決定のポイントは金利を含め3つ。まず、「短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度」とする現行の政策金利は据え置いたうえで、決定会合の声明に、「(長期金利は)経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」と明記した。会合後の記者会見で黒田東彦総裁は変動幅について、これまでの「プラスマイナス0.1%程度」から「プラスマイナス0.2%程度」へ、2倍に広げる考えを示した。実質的には、金利のある程度の上昇を容認することになる。

   2つ目は、株高を支えている上場投資信託(ETF)の買い入れ見直しだ。年間約6兆円規模としていた買い入れ額は、「上下に変動しうる」として、増減を認める。と同時に、日経平均など比較的構成銘柄が少ない株価指数に連動するETFに偏っていたことを修正し、市場全体を反映する東証株価指数(TOPIX)に連動したETFの比重を高めることも決めた。日銀が実質的に筆頭株主、大株主になる例が続出していることから、特定の株式に偏らないよう改めるものだ。

   この二つの政策は、超低金利による金融機関の収益悪化や国債市場の取引激減による機能低下、また、ETF購入による株価のゆがみといった副作用が無視できないところまで来ていることの反映とみられる。

   ただし、第3に、「フォワードガイダンス」と呼ばれる手法を、併せて導入した。将来の政策を予告するもので、「2019 年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」として、緩和を継続すると約束した。多少の金利上昇を認めるが、緩和策はまだまだ続くと宣言して、金利が急テンポで上昇する事態は許さないという意志を示すものだ。

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