2024年 5月 5日 (日)

翁長氏後継に玉城氏有力 問われる「日米安保」観

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   沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事の死去を受けて行われる県知事選(2018年9月13日告示、30日投開票)の構図が固まりつつある。

   保守系は前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)が出馬を表明する一方で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移転阻止を目指す「オール沖縄」勢力は、自由党幹事長の玉城デニー衆院議員(58)の擁立を目指す。翁長氏は、日米安保を支持しつつ辺野古移設に反対するという立ち位置で、自民支持層を含む一部保守層まで幅広い層から支持を得て圧勝につながった。今回の「弔い合戦」に玉城氏が出馬することになった場合、この広い支持層を受け継げるかも課題になりそうだ。

  • 野党集会でシュプレヒコールをあげる玉城デニー衆院議員(写真中央、2018年4月撮影)。「オール沖縄」勢力が擁立を目指している
    野党集会でシュプレヒコールをあげる玉城デニー衆院議員(写真中央、2018年4月撮影)。「オール沖縄」勢力が擁立を目指している
  • 野党集会でシュプレヒコールをあげる玉城デニー衆院議員(写真中央、2018年4月撮影)。「オール沖縄」勢力が擁立を目指している

辺野古移設には一貫して反対

   知事選では、保守系で元日本青年会議所会頭の安里(あさと)繁信(48)氏が出馬の意向を示していたが、8月19日に出馬辞退の上、佐喜真氏を応援する考えを表明。一本化が決まった。

   一方の「オール沖縄」勢力では、翁長氏が死去の数日前、自身の後継として会社経営者の呉屋守将(ごや・もりまさ)氏(69)と玉城氏の名前を挙げたとする音声の存在が明らかになり、人選を加速。呉屋氏は出馬を固辞する一方で、玉城氏は19日夜、記者団に対して、後援会と協議するなどして22日までに結論を出す意向を表明した。

   玉城氏は現在4期目で、ラジオパーソナリティーや沖縄市議会議員を経て09年の衆院選で沖縄3区から出馬し初当選。過去の選挙公報で掲げた公約でも

「新たに誕生した翁長知事と共に、オール沖縄で県民の意思を日米両政府に訴え、辺野古に新たな基地を作らせません」(14年)
「普天間基地の閉鎖・返還とオスプレイ配備を撤回し、更なる負担増となる辺野古新基地建設には反対」(17年)

と、辺野古移設には一貫して反対しており、翁長氏と歩調を合わせてきた。

「圧力によらない外交で、東アジア諸国との平和協定を締結」

   ただ、翁長氏は辺野古移設反対を掲げる一方で、15年5月20日の会見では、日米安保について「品格のある誇りのあるもの」になるように求めながら、「私は自由民主党出身なので、日米安保の大切さはよく分かる」とも述べ、その重要性を強調してきた。保守の一部からも支持を得てきた理由のひとつだ。この点、玉城氏の立ち位置は翁長氏と微妙に開きがあるようにも見える。12年の衆院選では、琉球新報のアンケートに対して、沖縄の基地負担軽減を条件に安保条約は「維持」すべきと回答したが、沖縄タイムスのアンケートでは、

「普天間基地移設問題は、地元自治体の反対が明白な状況にあり、その意志を無視する政府の姿勢は、対等な日米安保体制とは言えない。この異常事態を改善し、真の日米安保体制の中、アジアの平和の調整機能を果たせる安全保障体制を構築する」

と、現行の安保体制には懐疑的にも映る。その後の衆院選の選挙公報では、

「普天間基地の早期返還を訴えつつ、日米安全保障体制を再構築する、それが沖縄県の負担軽減につながる唯一の策です」(14年)
「圧力によらない外交で、東アジア諸国との平和協定を締結し、国連関連機関を沖縄に誘致」(17年)

とうたっている。

辺野古決めた時の抑止力は「北朝鮮であり、中国なんですよね」

   ただ、翁長氏は生前最後となった18年7月27日の記者会見で、日米安保の意義を根本的に疑問視するような発言もしている。米朝首脳会談後に米韓合同軍事演習が中止されたり北朝鮮が核実験場を爆破したとする様子を公開したりするなど、緊張緩和が進むことに触れながら、次のように疑問をぶつけた。

「中国は中国で、ロシアはロシアで、その後ろからですね、この北東アジアの平和に対して行く末に対してしっかりと見定めている中に、おかしくないでしょうかね?皆さん。20年(以上)前に合意した新辺野古基地、あのときの抑止力というのは北朝鮮であり、中国なんですよね」

   翁長氏のこういった訴えを踏襲する形で、玉城氏が選挙戦を展開する可能性もありそうだ。

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